ITILとは?あいてぃる
ITIL(Information Technology Infrastructure Library)は、ITサービスマネジメントの実践知をまとめたベストプラクティス集である。英国政府機関が1980年代に整備し、現在の最新版はITIL 4。認証を与える規格ではなく「どう進めるとうまくいくか」の指針で、インシデント・問題・変更といった現場の活動に目的・役割・KPIの型を与える。ITIL 4では個別プロセスの束をやめ、価値の共創を軸にしたサービスバリューシステムと34のプラクティスへ組み替えられた。
最終更新:2026-10-06
この語が出る過去問を解く →背景
省庁ごとにIT運用のやり方がばらばらで、調達のたびに品質水準も費用も一から交渉し直していた時代の産物である。共通の語彙と手順の型を文書に固定すれば、発注側も受注側も同じ言葉で品質を話せる——それがITILの出発点だった。SM試験でITILが繰り返し問われるのは、現場で使っている呼び名と、JIS Q 20000-1の条文の言い回しを橋渡しする共通語だからである。
具体例
英国政府のCCTA(中央コンピュータ・電気通信局)が編纂し、権利はAXELOSを経て現在はPeopleCertが持つ。ServiceNowやJira Service Managementといった実在のITSMツールは、インシデント・問題・変更・構成というITILの区分をそのまま画面の機能名として採用している。
試験での引っ掛け
ITILは認証規格ではないので、組織が「ITIL認証を取得した」とは言えない。認証されるのはJIS Q 20000-1(ISO/IEC 20000-1)側で、ITILの試験はファンデーションなど個人向けである。ITIL 4では「プロセス」ではなく「プラクティス」と呼ぶ点も、旧版の用語で覚えていると取り違える。
関連用語
出た過去問
出典:平成28年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問1(IPA)
ITILにおいて、良い目標値を設定するための条件として“SMART”がある。“S”はSpecific(具体的)、“M”はMeasurable(測定可能)、“R”…
正解:Achievable(達成可能)
要点:SMARTのAはAchievable(達成可能)
SMARTはSpecific(具体的)、Measurable(測定可能)、Achievable(達成可能)、Relevant(適切)、Time-bound(適時)の頭文字を並べたもので、ITILが良い目標値の条件として挙げている。“A”は達成可能であること、すなわち現実的な資源と期間で到達し得る水準に目標を置くことを指す。到達不可能な目標は改善活動の動機付けを失わせるため、測定可能性と並んで重視される。
出典:平成28年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問2(IPA)
ITILにおいて、インシデントに対する一連の活動のうち、イベント管理プロセスが分担する活動はどれか。
正解:インシデントの発生を検出して、関連するプロセスに通知する。
要点:イベント管理は状態変化の検知と関連プロセスへの通知を担う
イベント管理は、構成品目やITサービスの状態変化(イベント)を検知・記録し、意味を判別して適切なプロセスへ通知することを役割とするプロセスである。監視ツールがしきい値超過や障害を検出してインシデント管理へ引き渡す、といった活動がこれに当たる。復旧作業そのものや原因究明はイベント管理の担当ではない。
出典:平成28年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問3(IPA)
出典:平成28年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問5(IPA)
ITILによれば、7ステップの改善プロセスにおけるa、b及びcの適切な組合せはどれか。
正解:データを処理する/情報とデータを分析する/情報を提示して利用する
要点:7ステップ改善はデータ処理→分析→提示の順に進む
ITILの7ステップの改善プロセスは、改善戦略の識別→測定対象の定義→データ収集→データ処理→情報とデータの分析→情報の提示と利用→改善の実施、という順に進む。収集した生データをまず整形・集計して扱える形にし(処理)、次に意味を読み取り(分析)、最後に関係者へ示して意思決定に使う(提示と利用)という流れになる。
出典:平成28年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問12(IPA)
ITILでは、可用性管理におけるKPIの例として、保守性の指標である平均サービス回復時間(MTRS)の短縮を挙げている。年間5,020時間提供するサービスにおい…
正解:10
要点:MTRSは総停止時間を停止回数で割った平均回復時間
MTRS(平均サービス回復時間)は、サービス停止の総時間を停止回数で割って求める保守性の指標である。本問では停止時間の合計が6+14=20時間、停止回数が2回なので、20÷2=10時間となる。年間提供時間5,020時間は可用性の計算には使うが、MTRSの算出には用いない点に注意する。
出典・参考
公式シラバスの1 サービスマネジメント > 1-1 サービスマネジメントに掲載されている用語です。
解説は資格暗記が独自に作成しています。過去問の出典は各問題に記載のとおりです。