刑法のサイバー犯罪関連規定(不正指令電磁的記録に関する罪)とは?けいほうのさいばーはんざいかんれんきてい
刑法のサイバー犯罪関連規定(不正指令電磁的記録に関する罪)とは、コンピュータやデータを対象とする行為を処罰する刑法上の罪の総称。正当な理由なくマルウェアを作成・提供・供用・取得・保管する不正指令電磁的記録に関する罪のほか、電子計算機損壊等業務妨害罪、電子計算機使用詐欺罪、電磁的記録不正作出及び供用罪、支払用カード電磁的記録不正作出等罪が置かれている。
最終更新:2026-10-06
この語が出る過去問を解く →背景
刑法の伝統的な罪は、物の損壊や人をだますことを前提に組み立てられていた。データは有体物ではないため器物損壊には当てはめにくく、機械は「だまされる」主体になり得ないため詐欺罪も届かない。この穴を埋めるため、電磁的記録という概念を用いた条文が順次追加されてきた。マルウェアの作成等を罰する規定はサイバー犯罪条約への対応として新設されたもので、被害が出る前の準備段階を捉えられる点に特徴がある。
具体例
適用条文は行為の性質で変わる。基幹システムを停止させれば電子計算機損壊等業務妨害罪、ネットバンキングの残高データを不正に書き換えて利益を得れば人を欺いていなくても電子計算機使用詐欺罪、他人のIDとパスワードでログインする行為は刑法ではなく不正アクセス禁止法の領域になる。
試験での引っ掛け
「実害が出て初めて犯罪」ではない。不正指令電磁的記録に関する罪は、その目的での作成や保管の段階で成立しうる。一方で要件は「正当な理由がないのに」であるため、解析業務や防御研究で検体を扱うことが直ちに犯罪となるわけでもない。バグのあるプログラムを公開しただけでも、意図に反する動作をさせる目的がなければ該当しない。
関連用語
出た過去問
問題文で直接問われたものと、解説の中で触れられたものが含まれます。
出典:平成28年度 秋期 情報セキュリティマネジメント試験 午前 問32(IPA)
刑法の電子計算機使用詐欺罪が適用される違法行為はどれか。
正解:インターネットを経由して銀行のシステムに虚偽の情報を与え、不正な振込や送金をさせる。
要点:機械に虚偽情報を与えて利益を得るのが電子計算機使用詐欺
電子計算機使用詐欺罪は、コンピュータに虚偽の情報や不正な指令を与えて財産権の得喪・変更に係る不実の電磁的記録を作り、財産上不法の利益を得る行為を処罰する規定である。銀行システムに虚偽の情報を与えて不正な振込や送金をさせる行為はまさにこれに当たる。人をだます通常の詐欺罪と異なり、だます相手が機械である点が本罪の要点である。
出典:令和4年度 公開問題 情報セキュリティマネジメント試験 科目A・B 問32(IPA)解説で登場
企業が業務で使用しているコンピュータに、記憶媒体を介してマルウェアを侵入させ、そのコンピュータのデータを消去した者を処罰の対象とする法律はどれか。
正解:刑法
要点:マルウェアによるデータ消去は刑法で処罰される
マルウェアを侵入させてデータを消去し、業務を妨げる行為は、刑法の電子計算機損壊等業務妨害罪や電磁的記録不正作出・毀棄などの規定で処罰される。またマルウェアの作成・提供・取得自体も刑法の不正指令電磁的記録に関する罪の対象である。不正アクセス禁止法は他人のIDでネットワーク経由の不正ログインを規制する法律で、記憶媒体経由の本件には当たらない。
出典・参考
公式シラバスの2 企業と法務 > 2 セキュリティ関連法規 > 刑法に掲載されている用語です。
解説は資格暗記が独自に作成しています。過去問の出典は各問題に記載のとおりです。