否認防止とは?ひにんぼうし
否認防止とは、ある行為をした本人が、後から「自分ではない」と主張できないようにする性質。本人だけが使える署名鍵で署名し、対応する公開鍵で誰でも検証できるという非対称の構図があって初めて成り立つ。検証する側も同じ鍵を持つ共通鍵方式では、検証者にも同じ値が作れるため成立しない。
最終更新:2026-10-06
この語が出る過去問を解く →背景
紙の世界では、押印や筆跡という複製しにくい痕跡が本人性を担保していた。電子データは完全な複製が作れるため、同じ役割を果たす仕組みを別に用意する必要があった。さらに「いつ」を示さなければ、鍵の失効後に遡って作られた署名と区別できない。署名と時刻の証明が組みで扱われるのはこのためである。
具体例
電子契約では、電子署名及び認証業務に関する法律に基づく証明書と、時刻認証局が付すタイムスタンプを組み合わせ、誰がいつ承認したかを第三者へ示せる状態にする。署名鍵はICカードやHSMに封じ、PIN入力なしでは署名を作れない構成にして、本人しか使えないという前提そのものを守る。
試験での引っ掛け
完全性、送信元認証、否認防止は別の性質である。メッセージ認証コードは前の二つを与えるが、鍵を共有する相手も同じ値を作れるため否認防止にはならない。この対比が繰り返し問われる。ハッシュ値を付けるだけでは、改ざんする側が値も作り直せるので完全性の担保にもならない点と併せて整理する。
関連用語
出た過去問
出典:平成30年度 春期 情報処理安全確保支援士試験 午前Ⅱ 問7(IPA)解説で登場
発信者がメッセージのハッシュ値からディジタル署名を生成するのに使う鍵はどれか。
正解:発信者の秘密鍵
要点:署名は発信者の秘密鍵で生成し公開鍵で検証する
ディジタル署名は、署名者だけが持つ秘密鍵で処理を行い、誰でも入手できる公開鍵で検証できるという非対称性によって成り立つ。したがって発信者はメッセージのハッシュ値を自分の秘密鍵で暗号化(署名)し、受信者は発信者の公開鍵で復号して、自ら計算したハッシュ値と一致するかを確かめる。これにより改ざん検知と否認防止が同時に実現される。
出典:令和6年度 春期 情報処理安全確保支援士試験 午前Ⅱ 問2(IPA)解説で登場
送信者から受信者にメッセージ認証符号(MAC:Message Authentication Code)を付与したメッセージを送り、次に受信者が第三者に転送した。…
正解:MACは、送信者がメッセージと共通鍵を用いて生成する。MACを用いると、受信者がメッセージの完全性を確認できる。
要点:MACは共通鍵で完全性を確認する仕組みで否認防止はできない
MACは、メッセージと送信者・受信者が共有する共通鍵からハッシュ関数などを用いて生成する短い値である。受信者は同じ鍵で計算し直して照合することで、メッセージが改ざんされていないこと(完全性)と、鍵を知る相手が作ったものであることを確認できる。ただし鍵を共有する当事者なら誰でも同じ値を作れるため、第三者に対して送信者を証明する否認防止の効果はなく、そこはデジタル署名との決定的な違いである。
出典・参考
公式シラバスの3 技術要素 > 1. 情報セキュリティ > (1) 情報セキュリティの目的と考え方に掲載されている用語です。
解説は資格暗記が独自に作成しています。過去問の出典は各問題に記載のとおりです。