ハッシュ関数とは?はっしゅかんすう
ハッシュ関数は、任意長の入力から固定長の値を求める一方向の関数。暗号学的ハッシュ関数には、出力から入力を求められない原像計算困難性、ある入力と同じ値になる別の入力を作れない第二原像計算困難性、同じ値になる2つの入力の組を見つけられない衝突発見困難性の3つが求められる。入力が1ビット変わると出力が大きく変わる性質を利用して、改ざん検知やデータの同一性確認に使う。
最終更新:2026-10-06
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大きなデータをそのまま比べる、あるいはそのまま保存すると、処理も保管も割に合わない。原文を持たずに「同じかどうか」だけを扱えるようにする短い代表値が要る、というのがハッシュ関数の出発点である。この性質はそのままセキュリティに使えて、署名の対象を短く固定長にし、パスワードを平文で持たずに照合し、配布ファイルの改ざんを検知する土台になった。支援士では、暗号方式そのものより「どの性質が破れると何が起きるか」の対応が問われる。
具体例
CRYPTREC暗号リストではSHA-256やSHA-512といったSHA-2系とSHA-3が電子政府推奨暗号に位置づけられている。パスワードの保存では、ハッシュ値をそのまま持つのではなく、利用者ごとのソルトを加えたうえでbcryptやPBKDF2、Argon2のように意図的に計算を重くした関数を使い、総当たりの単価を上げる。
試験での引っ掛け
衝突発見困難性は「同じハッシュ値になる2つの入力の組を、どちらも自由に選んでよいから見つける」難しさで、片方が固定されている第二原像計算困難性とは別物。この2つの定義の入れ替えが頻出する。またハッシュ値を並べて置くだけでは改ざん検知にならない――データと一緒にハッシュ値も差し替えられるため、鍵を使うMACかデジタル署名が要る。
関連用語
出た過去問
出典:平成28年度 春期 情報処理安全確保支援士試験 午前Ⅱ 問5(IPA)
ハッシュ関数の性質の一つである衝突発見困難性に関する記述のうち,適切なものはどれか。
正解:衝突発見困難性とは,ハッシュ値が一致する二つのメッセージの探索に要する計算量の大きさによる,探索の困難性のことである。
要点:衝突発見困難性は同一ハッシュの2文書を探す困難さ
衝突発見困難性とは、同じハッシュ値になる2つの異なるメッセージを見つけることが計算量的に困難である性質です。ハッシュ値から元のメッセージを求めにくい性質は原像計算困難性であり、別の性質です。誕生日のパラドックスにより、衝突探索の計算量はハッシュ長の半分程度が目安になります。
出典:平成29年度 秋期 情報処理安全確保支援士試験 午前Ⅱ 問4(IPA)
ハッシュ関数の性質の一つである衝突発見困難性に関する記述のうち,適切なものはどれか。
正解:衝突発見困難性とは,ハッシュ値が一致する二つのメッセージの探索に要する計算量が大きいことによる,探索の困難性のことである。
要点:衝突発見困難性は同一ハッシュ値の2文書探索の難しさ
衝突発見困難性(collision resistance)は、同じハッシュ値になる異なる2つのメッセージの組を見つけるのが計算量的に難しい性質を指す。これに対し、与えられたハッシュ値から元のメッセージを求めにくい性質は原像計算困難性であり、別概念である。誕生日パラドックスにより、出力長nビットのハッシュ関数の衝突探索の計算量は概ね2の(n/2)乗で、SHA-256なら2の128乗程度となる。
出典:平成30年度 秋期 情報処理安全確保支援士試験 午前Ⅱ 問3(IPA)
ブロックチェーンに関する記述のうち,適切なものはどれか。
正解:ハッシュ関数が必須の技術であり,参加者がデータの改ざんを検出するために利用する。
要点:ハッシュの連鎖により改ざんを検出できる仕組み
ブロックチェーンは、取引をまとめたブロックに直前のブロックのハッシュ値を含めて数珠つなぎにする構造です。過去のデータを改変すると以降のハッシュ値が食い違うため、参加者が改ざんを検出できます。ハッシュ関数が不可欠な要素です。
出典:平成31年度 春期 情報処理安全確保支援士試験 午前Ⅱ 問4(IPA)
ハッシュ関数の性質の一つである衝突発見困難性に関する記述のうち,適切なものはどれか。
正解:衝突発見困難性とは,ハッシュ値が一致する二つのメッセージの発見に要する計算量が大きいことによる,発見の困難性のことである。
要点:衝突発見困難性は同じハッシュ値の二つの入力を探す難しさ
衝突発見困難性(強衝突耐性)とは、同じハッシュ値になる二つの異なるメッセージの組を見つけ出すのが計算量的に難しい性質を指す。誕生日のパラドックスにより、出力長がnビットのハッシュ関数では2のn/2乗程度の計算量で衝突が見つかり得るため、SHA-256なら約2の128乗となる。与えられたハッシュ値から元のメッセージを探す難しさは、原像計算困難性という別の性質である。
出典:令和2年度 10月試験 情報処理安全確保支援士試験 午前Ⅱ 問5(IPA)
ブロックチェーンに関する記述のうち、適切なものはどれか。
正解:ハッシュ関数を必須の技術として、参加者がデータの改ざんを検出するために利用する。
要点:ブロックチェーンはハッシュの連鎖で改ざんを検出する
ブロックチェーンは、取引の記録をまとめたブロックに直前のブロックのハッシュ値を含めて数珠つなぎにする構造を持つ。過去の記録を書き換えると以降のハッシュ値がすべて食い違うため、参加者は改ざんを容易に検出できる。したがってハッシュ関数は不可欠な構成要素であり、暗号化や特定の認証方式は必須ではない。
出典・参考
公式シラバスの3 技術要素 > 1. 情報セキュリティ > (8) 情報セキュリティに関する技術に掲載されている用語です。
解説は資格暗記が独自に作成しています。過去問の出典は各問題に記載のとおりです。