量子鍵配送とは?りょうしかぎはいそう
量子鍵配送とは、光子の量子状態を用いて、離れた二者で同じ乱数列を共有する方式。観測すると状態が変化する物理法則により、途中で盗聴されれば誤り率の上昇として必ず検知できる。共有した乱数はワンタイムパッドなどの共通鍵として使う。計算量の困難さではなく物理法則に安全性の根拠を置く点が特徴である。
最終更新:2026-10-06
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現在の公開鍵暗号は「解くのに現実的でない計算量がかかる」ことを安全性の根拠にしており、量子計算機が実用化されればその前提が崩れる。いま流れている通信を記録しておき後で解読する攻撃も想定されるため、計算量に依存しない鍵共有の手段が研究された。耐量子計算機暗号(PQC)が数学で対抗するのに対し、こちらは物理で対抗する道筋である。
具体例
東芝が英国で金融機関間の通信に量子鍵配送網を敷いた実証や、NICTが運用する東京QKDネットワークがある。いずれも専用の光ファイバ区間で鍵だけを配送し、業務データ自体は既存の回線を通す構成をとる。
試験での引っ掛け
QKDは「盗聴を防ぐ」のではなく「盗聴を検知できる」技術である。また鍵を配送する仕組みであって暗号アルゴリズムそのものではない。量子計算機に耐える暗号アルゴリズムを指す耐量子計算機暗号(PQC)とは別物で、QKDは専用の光路を要するのに対しPQCは既存回線でそのまま使える。
関連用語
出た過去問
出典:令和3年度 秋期 情報処理安全確保支援士試験 午前Ⅱ 問3(IPA)解説で登場
出典:令和4年度 春期 情報処理安全確保支援士試験 午前Ⅱ 問6(IPA)解説で登場
量子暗号の特徴として、適切なものはどれか。
正解:量子通信路を用いて安全に共有した乱数列を使い捨ての暗号鍵として用いることによって、原理的に第三者に解読されない秘匿通信が実現できる。
要点:量子暗号は盗聴を検知できる鍵配送と使い捨て鍵の組合せ
実用化が進んでいる量子暗号は量子鍵配送であり、光子の量子状態を用いて送受信者が乱数列を共有する。観測すると状態が乱れる性質のため盗聴があれば誤り率の上昇として検知でき、盗聴されていない乱数列だけを鍵として残せる。共有した乱数列をデータと同じ長さの使い捨て鍵(ワンタイムパッド)として使えば、計算能力によらず原理的に解読されない秘匿通信が成立する。
出典:令和6年度 秋期 情報処理安全確保支援士試験 午前Ⅱ 問5(IPA)解説で登場
PQC(Post-Quantum Cryptography)はどれか。
正解:量子コンピュータを用いても解読が困難であり,安全性を保つことができる暗号方式
要点:PQCは量子計算機でも解読困難な数学的問題に基づく暗号方式
PQC(耐量子計算機暗号)は、量子コンピュータで効率的に解けるとされる素因数分解や離散対数問題(べき乗の指数を求める難しい問題)に依存せず、格子問題(多次元の格子点に関する難問)や符号理論などに基づくことで、量子コンピュータでも解読が困難とされる暗号方式である。よってウが正しい。現在のコンピュータ上で動作する点が、量子力学的な性質そのものを使う量子鍵配送との大きな違いである。
出典:令和6年度 秋期 情報処理安全確保支援士試験 午前Ⅱ 問9(IPA)解説で登場
量子暗号の特徴として,適切なものはどれか。
正解:量子通信路を用いて安全に共有した乱数列を使い捨ての暗号鍵として用いることによって,原理的に第三者に解読されない秘匿通信が実現できる。
要点:量子鍵配送は共有乱数を使い捨て鍵に使い盗聴を必ず検知できる
実用化されている量子暗号は量子鍵配送(QKD)であり、量子通信路で共有した乱数列を使い捨ての鍵(ワンタイムパッド)として用いる。盗聴があれば量子状態が乱れて必ず検知できるうえ、ワンタイムパッドは情報理論的に安全なので、原理的に解読されない秘匿通信が成り立つ。よってエが正しい。
出典・参考
解説は資格暗記が独自に作成しています。過去問の出典は各問題に記載のとおりです。