職務著作とは?しょくむちょさく
職務著作とは、法人等の発意に基づき、その業務に従事する者が職務上作成し、法人等の名義で公表する著作物について、契約や勤務規則に別段の定めがない限り法人等を著作者とする制度(著作権法第15条)。プログラムの著作物については、法人名義での公表という要件が課されない。
最終更新:2026-10-06
この語が出る過去問を解く →背景
著作物は本来、創作した自然人に権利が生じる。しかし業務として多人数で作り込むシステムや文書で、担当者個人に権利が残ったままだと、改修も第三者への提供も個々の同意を要することになり、成果物の利用が立ち行かない。組織の発意と指揮のもとで作られたものは組織へ権利を寄せるのがこの規定の趣旨である。監査では、開発成果物の権利の所在が契約・規程で確定しているかが検証対象になる。
具体例
従業員が職務として作成した社内システムのプログラムは、公表されていなくても会社が著作者となる。一方、外部の開発会社へ委託して作らせたプログラムは職務著作にあたらず、契約で著作権の帰属を定めていなければ受託側に残る。監査人は委託契約書の権利帰属条項を確かめる。
試験での引っ掛け
プログラムだけ「法人名義での公表」の要件が外れる点が繰り返し問われる。また職務著作は雇用関係にある従業者を前提とし、請負・委託で外部が作成したものは対象外である。契約形態によって結論が変わるため、実態を確かめずに帰属を断定しない。
関連用語
出た過去問
問題文で直接問われたものと、解説の中で触れられたものが含まれます。
出典:平成28年度 春期 システム監査技術者試験 午前Ⅱ 問13(IPA)解説で登場
法人が作成し,公開,発売したソフトウェアの著作権の権利期間は公開から何年か。
正解:50
要点:法人名義の著作物の保護期間は公表時を起点に計算する
著作権の保護期間は著作者が個人か法人かで起算方法が異なる。法人その他の団体が著作の名義を有する著作物、いわゆる職務著作は、公表の時を起点として保護される。本問が前提とする法改正前の規定では、その期間は公表後50年とされていた。
出典:平成29年度 春期 システム監査技術者試験 午前Ⅱ 問13(IPA)解説で登場
プログラムの著作物について,著作権法上,適法である行為はどれか。
正解:処理速度を向上させるために,購入したプログラムを改変した。
要点:所有者は自己利用に必要な限度でプログラムを改変できる
プログラムの著作物には特則があり、正当に複製物を所有する者は、自ら電子計算機で利用するために必要と認められる限度で複製や翻案を行える。処理速度向上のための改変はこの範囲に収まるため適法である。一方、社内配布のための複製、海賊版と知りながらの業務使用、職務著作を無断で複製・貸与する行為はいずれも権利侵害となる。
出典:令和6年度 秋期 システム監査技術者試験 午前Ⅱ 問13(IPA)
著作権法及び関連法令によれば、職務著作の要件のうち、プログラムの著作物の場合は満たす必要がなく、プログラム以外の著作物の場合は満たす必要があるものはどれか。
正解:法人等が自己の著作の名義の下に公表していること
要点:プログラムの職務著作は法人名義での公表要件が不要とされている
職務著作が成立するには、法人等の発意に基づき、業務従事者が職務上作成し、法人名義で公表され、作成時に別段の定めがないことが必要である。ただしプログラムの著作物については、社内利用にとどまり公表されないことが多い実態を踏まえ、法人名義での公表という要件が外されている。これによりプログラムは公表の有無にかかわらず法人が著作者となり得る。
出典・参考
解説は資格暗記が独自に作成しています。過去問の出典は各問題に記載のとおりです。