バランススコアカード(BSC)とは?ばらんすすこあかーど
バランススコアカード(BSC)とは、ビジョンと戦略を財務・顧客・業務プロセス・学習と成長の4視点に展開し、各視点にCSF(重要成功要因)とKPI(重要業績評価指標)、目標値、実行施策を置いて戦略の実行を管理する枠組み。要点は4視点の列挙ではなく、下位視点が上位視点の先行指標になる因果連鎖(戦略マップ)にある。財務指標は結果が出てから動く遅行指標なので、それだけでは打ち手が間に合わない。学習と成長→業務プロセス→顧客→財務という仮説を明示し、先行指標の動きで軌道修正するのが本旨である。IT部門ではIT-BSC(企業への貢献・利用者志向・業務の卓越性・将来への準備)として応用され、システム化計画の投資対効果の説明に使う。
最終更新:2026-10-06
この語が出る過去問を解く →背景
財務指標は遅行指標であり、悪化が数字に出た時点では原因となった打ち手から数か月遅れているため、これだけを管理指標に置くと軌道修正が常に手遅れになる。BSCが解こうとしたのはこの時間差で、学習と成長→業務プロセス→顧客→財務という因果の仮説を戦略マップとして明示し、上流の先行指標の動きで早期に判断できるようにした。だから本質は4視点の列挙ではなく因果連鎖にあり、KPIを置くときも「連鎖のどこに位置し、施策で動かせるか」が問われる。ROIやEVAのような財務単独の評価方式との違いを説明させる出題は、この点を突いている。
具体例
ANAは定時出発率を継続的に公表している。これを業務プロセス視点の先行指標として置くと、整備・搭乗手続の改善施策が数値に表れ、遅れて顧客視点の満足度や再利用率、さらに遅れて財務視点の座席あたり収入へつながる、という因果連鎖を描ける。KPIを設計するときは、この連鎖のどこに位置する指標なのか(先行か遅行か)と、施策によって実際に動かせる指標なのか(可制御性)を必ず確認する。動かせない指標を並べても管理には使えない。
試験での引っ掛け
記述式ではKGIとKPI、CSFの関係が問われる。KGIは最終目標の達成度(例:営業利益率)、CSFはそれを達成するために鍵となる要因、KPIはCSFの達成度を測る中間指標、と3段で答える。混同しやすいのは、BSCが業績「評価」の制度だという読み違いで、目的は人事評価ではなく戦略の実行管理にある。またKPIに指標を積みすぎると現場が数字合わせに走る(ゴールの置換)ため、視点ごとに絞るのが定石。ROIやEVAといった財務指標だけで評価する方式との違いを問われたら、非財務の先行指標で早期に軌道修正できる点を挙げる。
関連用語
出た過去問
出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問62(IPA)
ITベンダにおけるソリューションビジネスの推進で用いるバランススコアカードの、学習と成長のKPIの目標例はどれか。ここで、ソリューションとは"顧客の経営課題の達…
正解:情報戦略のコンサルティングサービスに重点を置くために、社内要員30名をITのプロフェッショナルとして育成する。
要点:学習と成長の視点は人材育成やスキル向上を測る
バランススコアカードの「学習と成長」の視点は、人材の育成やスキル、組織風土、情報基盤といった将来の競争力の土台を扱います。要員をITのプロフェッショナルとして育成する目標は、まさに人材面の能力向上を測るものです。顧客満足度は顧客の視点、提案数は業務プロセスの視点、受注金額は財務の視点に属します。
出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問63(IPA)
IT投資に対する評価指標の設定に際し,バランススコアカードの手法を用いてKPIを設定する場合に,内部ビジネスプロセスの視点に立ったKPIの例はどれか。
正解:注文受付から製品出荷までの日数を3日短縮とする。
要点:内部ビジネスプロセスの視点は業務プロセスそのものの改善を測る
バランススコアカードの内部ビジネスプロセスの視点は、顧客と株主の期待に応えるために自社の業務プロセスをどう優れたものにするかを問う視点である。受注から出荷までのリードタイム短縮は、業務プロセスそのものの改善を測る指標なのでこの視点に当たる。
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問64(IPA)
IT投資に対する評価指標の設定に際し,バランススコアカードの手法を用いてKPIを設定する場合に,内部ビジネスプロセスの視点に立ったKPIの例はどれか。
正解:注文受付から製品出荷までの日数を3日短縮とする。
要点:内部ビジネスプロセスの視点は社内業務の流れの改善を測る。
バランススコアカードの内部ビジネスプロセスの視点は、顧客満足や財務目標を達成するために、社内の業務プロセスをどう改善するかに着目する。注文受付から出荷までの日数短縮は、社内の業務の流れそのものを速める指標なのでこの視点に当たる。売上高営業利益率は財務、顧客クレーム件数は顧客、研修受講率は学習と成長の視点に対応する。
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問68(IPA)
バランススコアカードの四つの視点とは、財務、学習と成長、内部ビジネスプロセスと、もう一つはどれか。
正解:顧客
要点:BSCの四つの視点は財務・顧客・内部プロセス・学習と成長
バランススコアカードは、財務の視点、顧客の視点、内部ビジネスプロセスの視点、学習と成長の視点という四つの視点から戦略目標と業績評価指標を体系立てる手法である。財務という結果指標だけに偏らず、それを生み出す先行指標も併せて管理する点が特徴である。
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問70(IPA)
バランススコアカードの四つの視点とは、財務,学習と成長,内部ビジネスプロセスと、もう一つはどれか。
正解:顧客
要点:BSCの4視点は財務・顧客・内部プロセス・学習と成長
バランススコアカードは、企業業績を財務の視点、顧客の視点、内部ビジネスプロセスの視点、学習と成長の視点という4つの視点から多面的に評価する手法である。財務指標だけに偏らず、将来の成長につながる非財務の観点も併せて管理する点に意義がある。
出典・参考
公式シラバスの8 経営戦略 > 3. ビジネス戦略と目標・評価 > (2) 目標設定及び評価のための代表的な情報分析手法に掲載されている用語です。
解説は資格暗記が独自に作成しています。過去問の出典は各問題に記載のとおりです。