刑法のサイバー犯罪関連規定(不正指令電磁的記録に関する罪)とは?けいほうのさいばーはんざいかんれんきてい
刑法のサイバー犯罪関連規定(不正指令電磁的記録に関する罪)とは、刑法に置かれたコンピュータ関連の犯罪類型。正当な理由なくマルウェア(コンピュータウイルスなど、悪意のある動きをするソフトの総称)を作成・提供・供用(他人のコンピュータで実行させること)・取得・保管する不正指令電磁的記録に関する罪のほか、電子計算機損壊等業務妨害罪、電子計算機使用詐欺罪、電磁的記録不正作出罪などが定められている。
最終更新:2026-10-10
この語が出る過去問を解く →背景
ウイルスを作って他人のコンピュータで動かす、システムを止めて業務を妨げる、といった行為は、「物を盗む」「人をだます」という従来の犯罪の形には収まりにくい。そのままでは罰することができず、被害が出ても責任を問えない場面が出てくる。そこで、コンピュータやデータを対象にした行為の種類を、刑法の中に置いた。
具体例
業務システムのデータを暗号化して停止させたランサムウェアの事案では、感染させた行為が電子計算機損壊等業務妨害罪に、マルウェアの現物(検体)を無断で配布した行為が不正指令電磁的記録提供罪に当たり得る。オンラインバンキングの残高データを不正に書き換えて利益を得れば、対人の詐欺ではなく電子計算機使用詐欺罪になる。研究目的の検体保管でも管理体制が問われる。
試験での引っ掛け
「正当な理由がないのに」が要件であるため、防御研究や解析業務での取扱いが直ちに犯罪となるわけではない。バグのあるプログラムを公開しただけでも、意図に反する動作をさせる目的が無ければ該当しない。逆に「実害が出て初めて犯罪」でもなく、その目的での作成・保管は感染させていなくても成立しうる。要点は行為の性質から法律を選び分けることで、他人のIDでのログインは不正アクセス禁止法、データの改ざんや業務妨害は刑法、DoS攻撃(大量の通信を送りつけてサービスを止める攻撃)による停止は電子計算機損壊等業務妨害罪の領域になる。
関連用語
出た過去問
問題文で直接問われたものと、解説の中で触れられたものが含まれます。
出典:平成31年度 春期 ITパスポート試験 問24(IPA)
刑法には、コンピュータや電磁的記録を対象としたIT関連の行為を規制する条項がある。次の不適切な行為のうち、不正指令電磁的記録に関する罪に抵触する可能性があるもの…
正解:正当な理由なく、他人のコンピュータの誤動作を引き起こすウイルスを収集し、自宅のPCに保管した。
要点:ウイルスは正当な理由なく保管するだけでも罪に問われ得る
不正指令電磁的記録に関する罪、いわゆるウイルス作成罪は、コンピュータを意図に反して動作させる不正な指令を与えるプログラムを、正当な理由なく作成・提供・供用・取得・保管する行為を処罰する。実際に感染させたかどうかにかかわらず、正当な理由なく手元に集めて保管しているだけでも該当し得る点が特徴である。
出典:平成31年度 春期 ITパスポート試験 問29(IPA)解説で登場
公開することが不適切なWebサイトa〜cのうち、不正アクセス禁止法の規制対象に該当するものだけを全て挙げたものはどれか。 a スマートフォンからメールアドレスを…
正解:b
要点:不正アクセス禁止法はフィッシングも規制対象とする
不正アクセス禁止法は、他人のIDやパスワードといった識別符号を無断で使ってアクセスする行為のほか、識別符号の不正取得・保管・提供、そして正規のサイトと誤認させて利用者に識別符号を入力させる行為(いわゆるフィッシング)を禁じている。したがって偽サイトでID・パスワードの入力を求める行為が規制対象にあたる。ウイルス配布は刑法の不正指令電磁的記録に関する罪、健康情報の無断公開は個人情報保護法の問題である。
出典・参考
公式シラバスの1 企業と法務 > 5. セキュリティ関連法規 > (5) その他の情報セキュリティ関連法規に掲載されている用語です。
解説は資格暗記が独自に作成しています。過去問の出典は各問題に記載のとおりです。