保守性とは?ほしゅせい
保守性とは、JIS X 25010(製品品質モデル)の主特性の1つで、修正のしやすさを表し、副特性はモジュール性・再利用性・解析性・修正性・試験性の5つ。実装後に上げるのは高くつくため、方式設計の段階で構造として作り込み、非機能要件として測定可能な形で合意するのが定石になる。TCO(総保有コスト)は開発費より運用保守費の比重が大きいので、初期コストと保守性のトレードオフは設計判断の中心にある。試験性が「テストが書いてあること」ではなく「テストしやすい構造か」を指す点、解析性が障害原因の特定容易性を指す点は、副特性の定義そのものが問われる。
最終更新:2026-10-06
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TCOの大半は開発費ではなく稼働後の運用保守費であり、しかも構造に起因する直しにくさは、稼働後に手を入れて改善しようとすると設計のやり直しに等しくなる。つまり保守性は後付けできないコストなので、方式設計の段階で作り込むしかない。一方で「直しやすく作る」は初期コストとトレードオフになるため、発注側と合意できる形にする必要があり、そのために品質モデルは主特性を副特性まで分解して測定と要求記述の単位を与えている。副特性の定義そのものが出題されるのは、この分解が非機能要件を合意可能にする仕掛けだからである。
具体例
サイボウズのkintoneは、業務アプリの項目や画面を設定で変更できることを製品仕様として公表している。制度改正で入力項目が1つ増えたときに、コードを改修してリリース手順を回すのではなく設定変更で済むなら、修正性が高い状態といえる。同じ発想を自社システムに入れるなら、税率や閾値を設定へ外出し(修正性)、業務ロジックを層で分離して影響範囲を追えるようにし(モジュール性・解析性)、外部依存をモックに差し替えられる境界を切って回帰テストを自動化する(試験性)、という順で非機能要件に落とす。
試験での引っ掛け
記述式では「なぜその設計が保守性を上げるのか」を副特性の名前で説明させる。設定の外出しなら修正性、層の分離ならモジュール性と解析性、依存の注入なら試験性、と対応づけて答える。混同しやすいのは信頼性との境界で、障害が起きにくいのは信頼性(成熟性・可用性・障害許容性・回復性)、障害後に直しやすいのが保守性。ISO/IEC 25010には利用時の品質モデルと製品品質モデルの2つがあり、保守性は製品品質側にしかない点も狙われる。なお可用性は保守性ではなく信頼性の副特性である一方、MTTR(平均修復時間)は保守性の良し悪しが数値に出る指標なので、指標と特性を1対1で結ぶ選択肢には注意する。
関連用語
出た過去問
問題文で直接問われたものと、解説の中で触れられたものが含まれます。
出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問54(IPA)
品質の定量的評価の指標のうち、ソフトウェアの保守性の評価指標になるものはどれか。
正解:(修正時間の合計)÷(修正件数)
要点:保守性の指標は1件当たりの平均修正時間
保守性は、障害や変更要求に対してどれだけ短時間で修正できるかで測られる。1件当たりの平均修正時間、すなわち修正時間の合計を修正件数で割った値は、まさに修正のしやすさを表す指標であり、保守性の評価に適する。
出典:令和4年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問56(IPA)
ITIL 2011 editionでは、可用性管理における重要業績評価指標(KPI)の例として、“保守性を表す指標値”の短縮を挙げている。保守性を表す指標に該当…
正解:平均サービス回復時間
要点:保守性は復旧時間で測り、信頼性は故障間隔で測る
保守性は、障害が起きたサービスをどれだけ速やかに復旧できるかを示す性質であり、平均サービス回復時間(MTRS)のような復旧に要する時間で測る。これを短縮すれば停止時間が減り可用性が高まる。一方、平均故障間隔や平均サービス・インシデント間隔は、故障の起きにくさすなわち信頼性を表す指標である。
出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問65(IPA)
非機能要件項目はどれか。
正解:システム基盤に関わる可用性、性能、拡張性、運用性、保守性、移行性、セキュリティ、システム環境などの項目
要点:非機能要件は可用性・性能・セキュリティなど品質面の要件
非機能要件は、システムが「何をするか」ではなく「どのように動くか」を定める要件で、可用性・性能・拡張性・運用性・保守性・移行性・セキュリティ・システム環境などが該当します。これらは主にシステム基盤の設計方針に直結します。業務手順や組織、システム機能の範囲、経営上の目標といった項目は、業務要件や機能要件の側に分類されます。
出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問46(IPA)
ソフトウェアの品質特性のうちの保守性に影響するものはどれか。
正解:ソフトウェアにある欠陥の診断又は故障原因の追究,及びソフトウェアの修正箇所を識別しやすいかどうか。
要点:欠陥の診断や修正箇所の特定のしやすさは保守性に含まれる
保守性は、修正のしやすさに関わる品質特性である。欠陥の診断や故障原因の特定、修正すべき箇所の識別がしやすいかどうかは、保守性の副特性である解析性にあたる。
出典:令和2年度 10月試験 応用情報技術者試験 午前 問48(IPA)解説で登場
出典・参考
公式シラバスの4 開発技術 > 2. 設計 > (8) ソフトウェア品質に掲載されている用語です。
解説は資格暗記が独自に作成しています。過去問の出典は各問題に記載のとおりです。