インスタンスとは?いんすたんす
インスタンスは、クラス(データと手続をまとめた設計図)をもとに作られた、実際に値を持つ実体。1つのクラスから複数のインスタンスを作ることができ、どのインスタンスも同じメンバ変数とメソッドを持つが、メンバ変数に入る値はインスタンスごとに独立している。科目Bの擬似言語では、変数にインスタンスそのものではなく「インスタンスの参照」(そのインスタンスがどこにあるかを指す値)が入る書き方が多く、同じ参照を2つの変数に代入すると、両方が同じ1つのインスタンスを指す。UMLの図では、クラスの具体的な1件をインスタンスと呼び、関連の多重度(相手1件に対していくつ対応するか)もインスタンスの数で数える。
最終更新:2026-10-10
この語が出る過去問を解く →背景
設計図(クラス)だけでは値を入れられず、プログラムは動かない。同じ形のデータを何件も扱う場面(学生名簿の一人ひとり、リストの一つひとつの要素)では、設計図から必要な数だけ実体を作る仕組みが要る。クラスと実体を言葉の上で分けておくことで、「形の定義」と「個々の値」を混同せずに設計できるようになった。
具体例
fe-2022s-kamokuB-10 では、ListElement 型の変数にクラス ListElement のインスタンスの参照が入り、各インスタンスのメンバ変数 next が次のインスタンスを指すことで単方向リストがつながる。スマホのゲームでいえば、「敵キャラ」クラスから作られたスライム1体・スライム2体が別々のインスタンスで、片方の体力を減らしてももう片方の体力は変わらない。
試験での引っ掛け
科目Bでは「参照の代入」と「インスタンスの複製」の取り違えが狙われる。変数 a の参照を変数 b に代入しても新しいインスタンスはできず、b を通してメンバ変数を書き換えると a から見た値も変わる。また、カプセル化(データと手続をまとめて中身を隠すこと)や抽象化を問う問題で、「クラスから生成された実体」という説明はインスタンスの説明であって、それらの説明ではない(fe-2022s-kamokuA-38)。
関連用語
出た過去問
問題文で直接問われたものと、解説の中で触れられたものが含まれます。
出典:平成29年度 秋期 基本情報技術者試験 午前 問47(IPA)解説で登場
オブジェクト指向分析を用いてモデリングしたとき、クラスとオブジェクトの関係になる組みはどれか。
正解:公園、代々木公園
要点:クラスは分類、オブジェクトはその具体的な実体(インスタンス)
クラスは共通の性質を持つものの分類(型)であり、オブジェクト(インスタンス)はその分類に属する具体的な個体である。公園という分類に対して代々木公園はその一つの実体なので、クラスとオブジェクトの関係になる。全体と部分の関係や、同じ階層の並列な概念とは区別する必要がある。
出典:平成30年度 秋期 基本情報技術者試験 午前 問47(IPA)
オブジェクト指向におけるクラスとインスタンスとの関係のうち,適切なものはどれか。
正解:クラスの定義に基づいてインスタンスが生成される。
要点:クラスは設計図、インスタンスはそこから作られる実体
クラスは属性と操作を定めた型(設計図)であり、インスタンスはそれに基づいて実行時に作られる実体である。一つのクラスからは必要な数だけインスタンスを生成でき、各インスタンスは自分の属性値をもつ。
出典:令和元年度 秋期 基本情報技術者試験 午前 問25(IPA)解説で登場
UMLを用いて表した図の概念データモデルの解釈として、適切なものはどれか。
正解:従業員は、同時に複数の部署に所属してもよい。
要点:UMLの多重度は「相手側の端の数字」を自分から見た個数として読む
UMLの関連では、相手側の端に書かれた多重度が「1つのインスタンスが相手をいくつ持つか」を表す。この図では従業員から見た部署の数が1以上(1..*)なので、1人の従業員が複数の部署に所属することが許され、逆に所属先ゼロの従業員は存在できない。また部署から見た従業員の数は0以上(0..*)なので、所属者がいない部署は存在してよい。
出典:令和4年度 公開問題 基本情報技術者試験 科目A 問22(IPA)解説で登場
UMLを用いて表した図の概念データモデルの解釈として、適切なものはどれか。
正解:従業員は、同時に複数の部署に所属してもよい。
要点:多重度は相手側の1インスタンスから見た対応数を表す
関連の多重度は、線の反対側にある一つのインスタンスから見て、こちら側がいくつ対応するかを表す。部署側が1以上多数となっているので、従業員1人は少なくとも一つ、場合によっては複数の部署に所属する。一方、従業員側が0以上多数なので、従業員が1人もいない部署は存在してよい。
出典:令和7年度 公開問題 基本情報技術者試験 科目A 問11(IPA)解説で登場
E-Rモデルにおけるエンティティの特徴はどれか。
正解:エンティティは,特性を表すための属性(アトリビュート)をもつ。
要点:エンティティは属性をもち、関係はリレーションシップ
E-Rモデルのエンティティは、管理対象となる実体や概念を表し、その性質を表す属性(アトリビュート)をもつ。エンティティは物理的な実体に限らず、注文や契約のような概念的なものも対象になる。1つのエンティティには複数のインスタンスが対応し、エンティティ間の関係はリレーションシップとして表現される。
出典・参考
解説は資格暗記が独自に作成しています。過去問の出典は各問題に記載のとおりです。