十分かつ適切な監査証拠とは?じゅうぶんかつてきせつなかんさしょうこ
十分かつ適切な監査証拠とは、「十分」は証拠の量、「適切」は証拠の質を指し、質は監査要点への適合性(関連性)と証明力(信頼性)で評価される。監査人はこの両面を満たして初めて合理的な根拠を得たといえ、監査意見を表明できる。リスクが高いと判断した領域ほど、必要となる量も質も上がる。
最終更新:2026-10-06
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監査は全件を確かめる作業ではなく、限られた期間と要員で結論を出す作業である。だから、どこで確かめるのを止めてよいかの判断基準が要り、それを量と質の二軸で言い表したのがこの概念である。量だけを積んでも監査要点に合わない証拠は結論を支えず、証明力の高い証拠でも一件では運用の継続性を示せない。論述では「なぜその証拠で足りると判断したか」の説明が求められる。
具体例
承認統制の有効性について、規程と権限設定という整備状況の証拠だけでなく、対象期間の申請から一定件数を抽出して実際の承認証跡を確かめる。件数は母集団の大きさと想定される逸脱率から決め、抽出の方法とその根拠を監査調書に残す。
試験での引っ掛け
件数を増やせば「適切」になるわけではない。監査要点に合わない証拠は何件集めても質を満たさない。逆に、証明力が高い証拠が一件あれば足りるとも限らず、運用状況の評価には期間を通じた継続性を示すだけの量が要る。
関連用語
出た過去問
問題文で直接問われたものと、解説の中で触れられたものが含まれます。
出典:平成29年度 春期 システム監査技術者試験 午前Ⅱ 問2(IPA)解説で登場
出典:平成29年度 春期 システム監査技術者試験 午前Ⅱ 問8(IPA)解説で登場
情報セキュリティ監査基準(Ver1.0)に基づく保証型監査の意見表明において,監査人が必要と認めた監査手続が制約され,保証意見の合理的な根拠を得ることができなか…
正解:意見を表明しない。
要点:監査範囲の制約で合理的根拠を得られなければ意見を表明しない
保証型監査では、監査人は十分かつ適切な監査証拠に基づいてのみ意見を述べられる。監査範囲に制約があり合理的な根拠を得られなかった場合、その影響が広範であれば意見表明そのものを差し控える。限定付意見は制約の影響が限定的なときの対応であり、根拠が得られない状態で肯定・否定の意見を述べることはできない。
出典:平成30年度 春期 システム監査技術者試験 午前Ⅱ 問3(IPA)解説で登場
システム監査チームが監査結果の評価を行ったとき,一部の項目について,調査不足から監査人の意見が分かれた。この場合の監査チームの対応として,適切なものはどれか。
正解:意見の統一を図るために追加の監査手続を実施する。
要点:証拠不足で意見が分かれたら追加手続で証拠を補い統一する
監査意見は十分かつ適切な監査証拠に裏付けられていなければならない。調査不足が原因で意見が分かれているのであれば、不足している証拠を補うために追加の監査手続を実施し、事実に基づいて意見を一つに収れんさせるのが正しい対応である。多数決や意見の併記は、証拠不足という原因を解消しないまま結論を出すことになり適切でない。
出典:令和2年度 10月試験 システム監査技術者試験 午前Ⅱ 問6(IPA)解説で登場
出典:令和3年度 秋期 システム監査技術者試験 午前Ⅱ 問8(IPA)
システム監査基準(平成30年)における“十分かつ適切な監査証拠”を説明したものはどれか。
正解:証拠としての量的十分性を備え、確かめるべき事項に適合し、かつ証明力を備えた証拠
要点:十分かつ適切な監査証拠とは量的十分性・適合性・証明力を備えた証拠
監査証拠には量と質の両面が求められる。十分性とは結論を支えるに足る量が集まっていること、適切性とは確かめようとしている事項に的確に対応し(適合性)、かつその事項を裏づける力を備えている(証明力)ことを意味する。したがって量的十分性、適合性、証明力の三つを備えた証拠が「十分かつ適切な監査証拠」となる。
出典・参考
解説は資格暗記が独自に作成しています。過去問の出典は各問題に記載のとおりです。