マルチコアプロセッサとは?まるちこあぷろせっさ
マルチコアプロセッサとは、1チップ上に複数のプロセッサコアを載せ、処理を並行実行させる構成。周波数を上げずに性能を伸ばせるため電力あたりの性能で有利で、組込みでは制御用コアと通信・表示用コアを役割で分けるヘテロ構成が典型になる。シラバスもMPU・MCU・DSPと並べてマルチコアプロセッサの選択を評価対象に挙げている。
最終更新:2026-10-06
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性能を周波数で稼ぐやり方は、消費電力が周波数と電圧に効いてくるため、放熱と電池の制約に先に突き当たった。同じ電力予算なら、低い周波数のコアを並べたほうが総処理量を稼げる——この転換が2000年代半ばに起きた。ただし組込みでは、並べたコアが共有バスとキャッシュを取り合い、実行時間のばらつきが増えるという副作用を同時に抱え込むことになる。
具体例
ルネサスのR‑CarはArm Cortex‑A系のアプリケーションコアとリアルタイム制御用のCortex‑R系を同一チップに載せる。RP2040のように同じコアを2つ対称に載せ、片方を通信、片方を制御へ固定して使う構成もある。
試験での引っ掛け
コア数をn倍しても性能はn倍にならない——逐次実行部分が上限を決める(アムダールの法則)。1コアに複数スレッドを見せるマルチスレッド(SMT)とも別物。共有キャッシュとバスの競合で最悪応答時間はむしろ悪化しうるため、マルチコアだからリアルタイム性が上がるという記述は誤り。
関連用語
出た過去問
出典:令和2年度 10月試験 エンベデッドシステムスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問4(IPA)
マルチコアプロセッサで用いられるスヌープキャッシュの説明として、適切なものはどれか。
正解:共有バスを介して、各コアのキャッシュが他コアのキャッシュの更新状態を管理し、コヒーレンシを保つ。
要点:スヌープ方式は共有バス監視でキャッシュ整合性を保つ
マルチコアでは各コアが専用キャッシュをもつため、同じ主記憶の内容が複数のキャッシュに重複して存在し、一方の更新が他方に伝わらないと不整合が生じる。スヌープキャッシュは、各キャッシュの制御回路が共有バス上のアクセスを常時監視し、他コアの書込みを検知したら自分の該当ブロックを無効化・更新することで整合性を保つ方式である。バスを共有する比較的少数のコア構成に適している。
出典:令和4年度 秋期 エンベデッドシステムスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問1(IPA)
マルチコアプロセッサで用いられるスヌープキャッシュの説明として、適切なものはどれか。
正解:共有バスを介して、各コアのキャッシュが他コアのキャッシュの更新状態を管理し、コヒーレンシを保つ。
要点:共有バスを監視して他コアの書換えを検知するのがスヌープ方式
スヌープキャッシュは、各コアのキャッシュコントローラが共有バス上のトランザクションを常時監視(スヌープ)し、他コアが自分の保持するブロックを書き換えたことを検知して無効化や更新を行う方式である。これによりコア間でキャッシュの内容が食い違わないよう一貫性(コヒーレンシ)を保つ。バス監視という仕組み上、共有バス型の小〜中規模マルチコアに適し、コア数が増えるとバス帯域がボトルネックになる。
出典:令和5年度 秋期 エンベデッドシステムスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問1(IPA)
big.LITTLEテクノロジの説明として、適切なものはどれか。
正解:消費電力が小さく処理能力が低いコアと、消費電力が大きく処理能力が高いコアとを組み合わせたマルチコアプロセッサ技術
要点:big.LITTLEは省電力コアと高性能コアを使い分ける
big.LITTLEは、高性能だが消費電力の大きいコアと、性能は控えめだが低消費電力のコアを同一チップ上に混載し、処理の負荷に応じて使い分けるマルチコア技術である。軽い処理は省電力コアに任せ、重い処理のときだけ高性能コアを動かすことで、性能と電池持ちを両立させる。スマートフォンなど電力制約の厳しい機器で広く採用されている。
出典・参考
高度試験 午前I(高度午前I 相当)のシラバスの2 コンピュータシステム > 1. プロセッサ > (9) プロセッサの高速化技術に掲載されている用語です。
解説は資格暗記が独自に作成しています。過去問の出典は各問題に記載のとおりです。