共通鍵暗号方式とは?きょうつうかぎあんごうほうしき
共通鍵暗号方式とは、送り手と受け手が同じ1本の鍵を共有し、その鍵で暗号化も復号も行う方式。演算が軽いため、読み書きのたびに暗号処理が走る表領域やバックアップでも実用的な速度が出る。代償は鍵の扱いにあり、相手ごとに別の鍵が要るうえ、その鍵を安全に渡し、安全に保管し続ける手立てを別に用意しなければならない。
最終更新:2026-10-06
この語が出る過去問を解く →背景
データベースの暗号化は、数百ギガバイト規模のデータに対して読み書きのたびに走るため、暗号方式の速度がそのまま応答時間に跳ね返る。公開鍵方式では処理が重すぎて実用にならないので、実データは共通鍵で守り、その鍵自体を別の仕組みで保護するという二段構えが定石になった。物理設計で暗号化機能を選ぶ判断は、この速度と鍵管理の取引の上にある。
具体例
Oracle DatabaseのTDEやPostgreSQLのpgcryptoでは、表領域やバックアップファイルをAESなどの共通鍵方式で暗号化し、その鍵自体をマスタ鍵や鍵管理サービスで保護する。n人が相互に通信する場合に必要な鍵の数はn(n−1)/2個となり、人数が増えるほど管理量が急増する。
試験での引っ掛け
「共通鍵は弱い」わけではない——同じ強度なら鍵長は公開鍵方式よりずっと短くて済む。弱点は暗号強度ではなく鍵配送と鍵の数であり、これを公開鍵方式で補ったものがハイブリッド暗号方式である。共通鍵方式は暗号化した本人しか復号できないわけでもなく、鍵を持つ者は誰でも復号できる点も取り違えやすい。
関連用語
出た過去問
問題文で直接問われたものと、解説の中で触れられたものが含まれます。
出典:平成30年度 春期 データベーススペシャリスト試験 午前Ⅱ 問21(IPA)解説で登場
公開鍵暗号方式を使った暗号通信をn人が相互に行う場合、全部で何個の異なる鍵が必要になるか。ここで、一組の公開鍵と秘密鍵は2個と数える。
正解:2n
要点:公開鍵方式の鍵数は1人2個で合計2n個
公開鍵暗号方式では、各利用者が自分の公開鍵と秘密鍵の対を1組もてばよく、相手ごとに鍵を用意する必要がない。n人なら1人あたり2個で合計2n個となる。相手ごとに鍵が必要な共通鍵暗号方式のn(n−1)/2個と対比して覚えるとよい。
出典:平成31年度 春期 データベーススペシャリスト試験 午前Ⅱ 問20(IPA)
インターネットで電子メールを送信するとき、メッセージの本文の暗号化に共通鍵暗号方式を用い、共通鍵の受渡しに公開鍵暗号方式を用いるものはどれか。
正解:S/MIME
要点:S/MIMEは本文を共通鍵、鍵配送を公開鍵で行うハイブリッド方式
S/MIMEは電子メールの暗号化とディジタル署名の標準で、本文は処理が速い共通鍵暗号で暗号化し、その共通鍵を受信者の公開鍵で暗号化して一緒に送る。この組合せをハイブリッド暗号方式といい、速度と鍵配送の安全性を両立させる典型的な方法である。
出典:令和4年度 秋期 データベーススペシャリスト試験 午前Ⅱ 問19(IPA)解説で登場
NISTが制定した、AESにおける鍵長の条件はどれか。
正解:128ビット、192ビット、256ビットから選択する。
要点:AESの鍵長は128・192・256ビットの3種類
AESはブロック長を128ビットに固定したうえで、鍵長を128・192・256ビットの3種類から選ぶ共通鍵暗号方式である。鍵長に応じて処理の繰返し回数が変わる。よってアが正しい。
出典・参考
高度試験 午前I(高度午前I 相当)のシラバスの3 技術要素 > 1. 情報セキュリティ > (8) 情報セキュリティに関する技術に掲載されている用語です。
解説は資格暗記が独自に作成しています。過去問の出典は各問題に記載のとおりです。