待ち行列理論(M/M/1モデル)とは?まちぎょうれつりろん
待ち行列理論(M/M/1モデル)とは、到着する要求が窓口で待つ様子を数理的に扱い、平均待ち時間や平均系内滞在時間を予測する理論。M/M/1は到着間隔とサービス時間がともに指数分布に従い窓口が1つという最も基本のモデルで、利用率ρ(=到着率÷サービス率)から平均待ち時間=ρ/(1−ρ)×平均サービス時間として求められる。
最終更新:2026-10-06
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資源を増やすかどうかの判断は、平均利用率だけを見ると必ず外す。利用率50%なら余裕があるように見えるが、要求の到着はばらつくため混み合う瞬間には必ず待ちが生じるからである。到着とサービスのばらつきを確率分布として置き、待ち時間を利用率の関数として導いたことで、「あと何割まで負荷を上げてよいか」を実測の前に見積もれるようになった。
具体例
平均サービス時間0.2秒、利用率ρ=0.8なら平均待ち時間は0.8/(1−0.8)×0.2=0.8秒、系内滞在時間は1.0秒になる。ρが0.9へ上がるだけで待ち時間は1.8秒と倍以上に伸び、これが増設判断の根拠になる。コールセンターの回線数設計には多窓口のM/M/sを使う。
試験での引っ掛け
利用率ρが1に近づくほど待ち時間が急増する非線形な関係を線形に見積もると計算を誤る。またM/M/1は窓口1つのモデルで、窓口が複数ならM/M/sを使う——2窓口の系を「M/M/1が2つ」と扱うと待ち時間を過大に見積もる。ρは到着率÷サービス率であり、逆数を取らないことも要注意。
関連用語
出た過去問
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問2(IPA)
コンピュータによる伝票処理システムがある。このシステムは,伝票データをためる待ち行列をもち,M/M/1の待ち行列モデルが適用できるものとする。平均待ち時間がT秒…
正解:50
要点:M/M/1の平均待ち時間はρ/(1−ρ)×平均サービス時間。
M/M/1モデルでは、平均待ち時間(行列に並ぶ時間)は「利用率ρ÷(1−ρ)×平均サービス時間」で求まる。平均サービス時間がT秒なので、待ち時間がT秒以上になる条件はρ/(1−ρ)≧1、すなわちρ≧0.5である。よって利用率50%以上のときに平均待ち時間がT秒以上となる。
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問3(IPA)
通信回線を使用したデータ伝送システムにM/M/1の待ち行列モデルを適用すると、平均回線待ち時間、平均伝送時間、回線利用率の関係は、次の式で表すことができる。 平…
正解:0.5
要点:M/M/1では利用率0.5を超えると待ち時間が処理時間を上回る
与式より、平均回線待ち時間が平均伝送時間を上回る条件は、係数である 回線利用率÷(1-回線利用率) が1を超えることです。ρ/(1-ρ)>1 を解くとρ>0.5 となります。M/M/1では利用率が5割を超えたあたりから待ち時間が急激に伸び始めます。
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問2(IPA)
ATM(現金自動預払機)が1台ずつ設置してある二つの支店を統合し、統合後の支店にはATMを1台設置する。統合後のATMの平均待ち時間を求める式はどれか。ここで、…
正解:2ρ/(1-2ρ)×Ts
要点:M/M/1の待ち時間はρ/(1-ρ)×Ts、統合で利用率は2ρになる
M/M/1では平均待ち時間 Wq = ρ/(1-ρ)×Ts で、ρは利用率。統合すると利用者数(到着率)が2倍になり、サービス時間Tsは変わらないので、統合後の利用率は 2ρ になる。これを式に代入すると 2ρ/(1-2ρ)×Ts が得られる。窓口を1つにまとめても、利用率が上がる分だけ待ち時間は増える点に注意する。
出典:令和4年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問3(IPA)
M/M/1の待ち行列モデルにおいて、窓口の利用率が25%から40%に増えると、平均待ち時間は何倍になるか。
正解:2.00
要点:M/M/1の待ち時間はρ/(1-ρ)に比例して急増する
M/M/1モデルでは、平均待ち時間は平均サービス時間×ρ/(1-ρ)で表され、利用率ρだけで倍率が決まる。ρ=0.25では0.25/0.75=1/3、ρ=0.40では0.40/0.60=2/3となる。比を取ると2倍であり、利用率が高くなるほど待ち時間が急激に伸びることが分かる。
出典・参考
公式シラバスの1 基礎理論 > 2. 応用数学 > (6) 待ち行列理論に掲載されている用語です。
解説は資格暗記が独自に作成しています。過去問の出典は各問題に記載のとおりです。