クリティカルパスとは?くりてぃかるぱす
クリティカルパスとは、プロジェクトの作業ネットワーク上で、最早結合点時刻と最遅結合点時刻が一致する(トータルフロートがゼロの)作業を連ねた最長経路で、プロジェクトの最短完了期間そのものを規定する。前進計算で最早開始時刻、後退計算で最遅開始時刻を求め、その差がゼロの作業を追えば求まる。ここを短縮しない限り全体は縮まないため、期間短縮の打ち手であるクラッシング(要員追加によるコスト増)とファストトラッキング(並行実施によるリスク増)は、いずれもこの経路上の作業に対して適用する。短縮を進めると別の経路のフロートが尽きて、クリティカルパスが移動する点まで見ておく必要がある。
最終更新:2026-10-06
この語が出る過去問を解く →背景
期間短縮の要請は必ず費用かリスクの増加と引き換えになるため、どこに投じれば完了日が動くのかを定量的に示せなければ、交渉も意思決定もできない。前進計算と後退計算で各作業の余裕を数値化し、余裕ゼロの連なりを取り出すことで、投入先の判断根拠と、投じても効かない作業の切り分けが同時に得られる。クラッシングとファストトラッキングという打ち手が「費用を出すか、手戻りリスクを負うか」の選択として整理できるのも、対象がこの経路に限定されているからである。短縮を進めると別経路の余裕が尽きて経路自体が移るという性質も、余裕をゼロ基準で定義したことの帰結にあたる。
具体例
サイボウズのようなSaaS事業者が新機能を期日までに出す場面では、外部連携先の仕様確定を待つ実装が最長経路に乗ることがある。ここにテストを重ねて並行着手すれば期間は縮むが、仕様変更が来たときの手戻りリスクを引き受けることになる。この判断がファストトラッキングであり、要員を追加して期間を買うクラッシングとは費用とリスクの負い方が違う。
試験での引っ掛け
トータルフロートとフリーフロートの区別が記述式の狙い目で、トータルフロートは全体完了を遅らせない範囲の余裕、フリーフロートは後続作業の最早開始を遅らせない範囲の余裕であり、常にフリーフロート以下の関係になる。クリティカルパス上の作業はトータルフロートがゼロだが、経路は一本とは限らず複数並立しうる。短縮策では「なぜクラッシングではなくファストトラッキングを選ぶのか」を、追加費用を出せないがリスクは許容できる、といった制約条件から言えるようにしておく。
関連用語
出た過去問
問題文で直接問われたものと、解説の中で触れられたものが含まれます。
出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問53(IPA)解説で登場
プロジェクトのスケジュールを短縮したい。当初の計画は図1のとおりである。作業Eを作業E1,E2,E3に分けて,図2のように計画を変更すると,スケジュールは全体で…
正解:1
要点:短縮効果はクリティカルパスが入れ替わるまでしか出ない
変更前の最長経路はA→B→E→H→Iで5+8+9+4+2=28日である。変更後、E1→E2の直列7日とE3の2日が並行するので、その区間は7日となり同経路は26日になる。すると最長経路はA→B→D→Gの27日となり、全体では28−27=1日の短縮にとどまる。
出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問52(IPA)解説で登場
図のアローダイアグラムから読み取ったことのうち,適切なものはどれか。ここで,プロジェクトの開始日は0日目とする。
正解:作業Eの余裕日数は30日である。
要点:余裕日数は最遅結合点時刻から最早開始と所要日数を引いて求める
作業Eは最早で10日目に開始でき所要は10日だが、その先の合流点に許される最遅時刻は50日目である。したがってEには50−(10+10)=30日の余裕がある。クリティカルパスは所要日数の合計が最大となる経路で、全体は60日となる。
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問51(IPA)
プロジェクトの期間を短縮する方法のうち,クラッシングに該当するものはどれか。
正解:プロジェクトの外部から要員を調達し,クリティカルパス上の作業に投入する。
要点:クラッシングは資源追加で期間短縮する(コスト増を伴う)。
クラッシングは、クリティカルパス上の作業に要員や設備などの資源を追加投入して所要期間を短縮する方法である。作業の順序関係は変えずに済むが、コストが増加するという代償がある。作業を並行化して短縮するファストトラッキングとは手段が異なる。
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問52(IPA)解説で登場
アローダイアグラムで表される作業A~Hを見直したところ、作業Dだけが短縮可能であり、その所要日数は6日に短縮できることが分かった。作業全体の所要日数は何日短縮で…
正解:3
要点:クリティカルパスを縮めると別経路が新たな制約になり短縮量は頭打ち
作業Dを含む経路が最長となっており、短縮前の全体所要日数は31日です。Dを10日から6日へ4日短縮すると、その経路は4日縮みますが、Dを通らない別の経路(A→C→F→H)が23日で残るため、全体は28日までしか縮みません。したがって短縮できるのは3日です。クリティカルパスを短縮すると別の経路が新たな制約になる点が要点です。
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問53(IPA)解説で登場
図のアローダイアグラムから読み取れることとして、適切なものはどれか。ここで、プロジェクトの開始日を1日目とする。
正解:作業Eの総余裕時間は30日である。
要点:総余裕時間=最遅開始時刻-最早開始時刻で求める
作業Bの10日とダミー作業により結合点1の最早開始は10日目時点となる。C(20日)とG(20日)を通る経路が最長で結合点5の最早は50、これがクリティカルパスになる。作業Eは最早開始が10、最遅開始は50-10=40なので、総余裕時間は40-10=30日となる。
出典・参考
公式シラバスの7 システム戦略 > 1. システム化計画 > (3) システム化計画の立案における検討項目に掲載されている用語です。
解説は資格暗記が独自に作成しています。過去問の出典は各問題に記載のとおりです。