モデル取引・契約書(多段階契約)とは?
モデル取引・契約書(多段階契約)とは、情報システム開発の各工程を1本の契約でまとめず、工程ごとに内容と契約形態を分けて順に結ぶ考え方。要件が固まっていない上流で完成義務を負わせる無理をなくし、確定した範囲ごとに見積りと責任を明確にできる。
高度試験・午前I(全区分共通)の過去問では4回出題されています(2016年度〜2025年度)。
もでるとりひき・けいやくしょ
モデル取引・契約書(多段階契約)の意味
情報システム開発の各工程を1本の契約でまとめず、工程ごとに内容と契約形態を分けて順に結ぶ考え方。要件が固まっていない上流で完成義務を負わせる無理をなくし、確定した範囲ごとに見積りと責任を明確にできる。
モデル取引・契約書(多段階契約)の具体例
要件定義は準委任、外部設計以降は範囲が確定した段階で請負とし、工程の切れ目ごとに成果物を確認して次工程の契約を結ぶ。要件定義の結果、想定規模が2倍と判明した場合は、次工程の契約前に投資判断をやり直せる。
モデル取引・契約書(多段階契約)は試験でどう引っ掛けられる?
準委任だから成果に責任がない、ではない。善良な管理者の注意義務は負う。また工程を分けても総額が確定するわけではなく、次工程の合意が得られない中断リスクは残る。分割数を増やすほど契約手続の工数も増えるため、細分化すればよいという理解も誤り。工程間の隙間で責任の空白が生じないよう、引き渡す成果物の定義が要る。
モデル取引・契約書(多段階契約)と関連する用語
モデル取引・契約書(多段階契約)が出た過去問
“情報システム・モデル取引・契約書”によれば、要件定義工程を実施する際に、ユーザ企業がベンダと締結する契約の形態について適切なものはどれか。
正解:構築するシステムがどのような機能となるか明確になっていないので準委任契約にした。
要点:要件定義は成果が未確定なため準委任契約が基本
要件定義工程は、ユーザ企業が主体となって業務要件を固めていく段階であり、開始時点では何を作るかが確定していないため成果物の完成責任を負わせにくい。モデル取引・契約書でも、ベンダが専門的な支援を提供する準委任契約とすることが基本とされている。
出典:平成28年度 秋期 高度共通_午前I試験 am1 問25(IPA)“情報システム・モデル取引・契約書”によれば、情報システムの開発において、多段階契約の考え方を採用する目的はどれか。ここで、多段階契約とは、工程ごとに個別契約を…
正解:開発段階において、前工程の遂行の結果、後工程の見積前提条件に変更が生じた場合に、各工程の開始のタイミングで、再度見積りを可能とするため
要点:多段階契約は工程ごとに再見積りし見積りリスクを抑える
開発の初期段階では要件が固まっておらず、全工程を一括で正確に見積もることは難しい。多段階契約では工程ごとに契約を結ぶため、前工程の結果を踏まえて次工程の開始時点で改めて見積もり直せる。見積りの前提が変わったときにリスクを双方が抱え込まずに済む点が狙いである。
出典:平成29年度 秋期 高度共通_午前I試験 am1 問24(IPA)委託元への著作権の移転に関する条項を含むソフトウェア開発委託契約書に、“委託先は著作者人格権を行使しない”という記載があった。これはどのような問題の発生を防ぐた…
正解:納品されたソフトウェアを委託先の了解なく委託元で修正できなくなること、又は他の会社に修正を依頼できなくなることを防ぐ。
要点:人格権不行使特約は納品物を自由に改修するため
著作者人格権には同一性保持権が含まれ、著作者に無断で改変されない権利を持つ。著作財産権を委託元に移転しても人格権は著作者に残り譲渡できないため、委託先が同一性保持権を主張すると委託元は納品物を自由に修正できなくなる。これを避けるために不行使の特約を置く。
出典:令和7年度 秋期 高度共通_午前I試験 am1 問17(IPA)ベンダーX社に対して、表に示すように要件定義フェーズから運用テストフェーズまでを委託したい。X社との契約に当たって、“情報システム・モデル取引・契約書<第二版>…
正解:a, d
要点:要件定義と運用テストは準委任型が適切とされる
情報システム・モデル取引・契約書では、成果物の完成責任を負わせにくい工程は準委任型が適切とされる。表のaは要件定義、dは運用テストであり、いずれも利用者側の主体的な関与が前提となるため準委任型が適切とされる。bのシステム内部設計とcのシステム結合は請負型が適切である。
出典:令和7年度 春期 高度共通_午前I試験 am1 問25(IPA)
最終更新:2026-08-25/解説は資格暗記が独自に作成しています。 過去問の出典は各問題に記載のとおりです。