デジタル署名とは?でじたるしょめい
デジタル署名とは、送信者が自分の秘密鍵で文書のハッシュ値を変換し、受信者が送信者の公開鍵で検証することによって、作成者の真正性・内容の完全性・否認防止を確認できる仕組み。文書全体ではなくハッシュ値に対して行うのは、公開鍵演算が重く長い文書をそのまま扱えないためである。応用情報では、暗号化とは使う鍵の向きが逆になる点と、機密性は保証しない点が繰り返し問われる。
最終更新:2026-10-06
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紙の世界では、署名と押印が「本人が確かにこの内容に同意した」ことの証明として働いてきた。電子データは無劣化で複製も改変もでき、書き換えた痕跡も残らないため、そのままでは契約や申請の根拠にならない。本人しか持たない秘密鍵でしか作れず、誰でも公開鍵で確かめられる値を添える——この非対称性によって押印の役割を電子データへ移したのがデジタル署名である。公開鍵が本人のものだと保証するために、認証局とPKIが併せて必要になる。
具体例
契約書PDFに電子署名を付ける場合、送信者はSHA-256でハッシュを求め、自分の秘密鍵で署名値を作って添付する。受信者は送信者の公開鍵で署名値を戻した結果と、受け取った文書から自分で計算したハッシュを突き合わせ、一致すれば改ざんが無く本人が署名したと判断する。ソフトウェアのコードサイニングも同じ仕組みで配布元を確かめている。
試験での引っ掛け
「署名すれば本文も暗号化されて第三者に読まれない」は誤りで、署名対象の本文は平文のまま流れる。機密性も必要なら、共通鍵で本文を暗号化し、その鍵を相手の公開鍵で包む処理を別に行う。共有鍵を使うMACでは否認防止が成立しない(受信者も同じ値を作れる)点、公開鍵が本人のものである保証は証明書と認証局が担う点も区別する。
関連用語
出た過去問
問題文で直接問われたものと、解説の中で触れられたものが含まれます。
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問39(IPA)解説で登場
JIS Q 27000:2019(情報セキュリティマネジメントシステム-用語)において定義されている情報セキュリティの特性に関する説明のうち、否認防止の特性に関…
正解:ある利用者があるシステムを利用したという事実が証明可能である。
要点:否認防止は行為の事実を後から証明できる特性
否認防止(non-repudiation)は、ある事象や行為が確かに起きたこと、そしてそれを行った主体を後から否定できないように証明できる特性である。ログの記録やデジタル署名がその実現手段となる。可用性・機密性・信頼性といった他の特性との違いを整理しておきたい。
出典:令和4年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問39(IPA)解説で登場
メッセージの送受信における署名鍵の使用に関する記述のうち、適切なものはどれか。
正解:送信者が送信者の署名鍵を使ってメッセージに対する署名を作成し、メッセージに付加することによって、受信者が送信者による署名であることを確認できるようになる。
要点:署名鍵は本人性と改ざん検知のためで秘匿には使わない
デジタル署名では、署名者だけが持つ署名鍵(秘密鍵)でメッセージのハッシュ値を処理して署名を作り、メッセージに添えて送る。受信者は対応する検証鍵(公開鍵)で検証することで、送信者本人が作成したこと(真正性)と、内容が改ざんされていないことを確認できる。署名は内容を秘匿する仕組みではない点に注意が必要である。
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問42(IPA)
セキュアブートの説明はどれか。
正解:PCの起動時にOSのプログラムやドライバのデジタル署名を検証し、デジタル署名が有効なものだけを実行することによって、OS起動完了前のマルウェアの実行を防ぐ技術
要点:セキュアブートは署名検証で起動前のマルウェア実行を防ぐ
セキュアブートは、PCの起動過程でOSのローダーやカーネル、ドライバに付与されたデジタル署名を検証し、正当な署名をもつものだけを実行する仕組みである。改ざんされたプログラムや署名のないプログラムは実行されないため、OSが立ち上がる前にマルウェアが動き出すことを防げる。UEFI(BIOSの後継となる起動用ファームウェア)ファームウェアの機能として実装される。
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問44(IPA)
DKIM(DomainKeys Identified Mail)に関する記述のうち、適切なものはどれか。
正解:送信側のメールサーバで電子メールにデジタル署名を付与し、受信側のメールサーバでそのデジタル署名を検証して送信元ドメインの認証を行う。
要点:DKIMはメールへの電子署名で送信ドメインを認証する
DKIMは、送信側のメールサーバが電子メールに秘密鍵でデジタル署名を付与し、受信側がDNSに公開された公開鍵で署名を検証する送信ドメイン認証技術である。署名が検証できれば、そのドメインから送られ、かつ改ざんされていないことを確認できる。IPアドレスを照合するSPFや、認証失敗時の扱いを定めるDMARCとは仕組みが異なる。
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問45(IPA)
DNSSECについての記述のうち、適切なものはどれか。
正解:公開鍵暗号方式によるデジタル署名を用いることによって、正当なDNSサーバからの応答であることをクライアントが検証できる。
要点:DNSSECは公開鍵署名でDNS応答の正当性を検証する
DNSSECは、DNSの応答レコードに公開鍵暗号方式によるデジタル署名を付け、問合せ側が署名を検証することで、応答が正当な権威サーバから送られ改ざんされていないことを確認できるようにする拡張である。これによりキャッシュポイズニングなど偽の応答を混入させる攻撃を防げる。信頼の連鎖(上位の署名で下位の鍵を順に保証する仕組み)を上位ゾーンからたどって検証する点も特徴である。
出典・参考
公式シラバスの3 技術要素 > 1. 情報セキュリティ > (8) 情報セキュリティに関する技術に掲載されている用語です。
解説は資格暗記が独自に作成しています。過去問の出典は各問題に記載のとおりです。