ファストトラッキングとは?ふぁすととらっきんぐ
ファストトラッキングとは、本来は順番に実施する作業を部分的に重ねて並行実施し、工期を短縮する技法。要員を増やさないため追加コストはほとんど発生しない代わりに、前工程の成果が確定しないまま後続を始めるので、手戻りと再作業のリスクが増える。資源を追加して期間を縮めるクラッシングと並ぶ、代表的なスケジュール短縮技法である。
最終更新:2026-10-06
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納期が動かせない状況で工期を詰める手段は、人を増やすか順序を重ねるかの二つしかない。人を増やす側はコストが直接増えるうえ、教育と調整のオーバーヘッドで期待どおりには縮まらないことも多い。そこでコストを増やさずに済む並行化が選ばれるが、代わりに手戻りリスクを引き受けることになる。試験では、この「何を差し出して何を得るか」の交換関係を説明できるかが問われる。
具体例
設計書が全て完成する前に、確定した機能から順に実装へ着手する。要員を追加できない状況で2週間の遅れを取り戻す場面では、後戻りが起きても影響が閉じる機能を選んで重ねる、といった選び方をする。
試験での引っ掛け
クラッシングとの取り違えが最頻出。「並行化=ファストトラッキング(コスト増は小、手戻りリスク増)」「資源投入=クラッシング(コスト増)」で区別する。どちらもクリティカルパス上の作業に打たなければ工期は縮まらない点も併せて問われる。
関連用語
出た過去問
問題文で直接問われたものと、解説の中で触れられたものが含まれます。
出典:平成29年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問9(IPA)解説で登場
プロジェクトマネジメントにおけるクラッシングの例として,適切なものはどれか。
正解:クリティカルパス上の遅れているアクティビティに人員を増強した。
要点:クラッシングは資源追加でコストと引換えに期間を短縮する
クラッシングは、資源を追加投入するなどしてコストを増やす代わりに所要期間を短縮するスケジュール短縮技法である。クリティカルパス上の遅れているアクティビティに人員を増やす対応がこれにあたる。作業を並行化して短縮するファストトラッキングと対で押さえるとよい。
出典:平成30年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問6(IPA)
図1に示すプロジェクト活動について、作業Cの終了がこの計画から2日遅れたので、このままでは当初に計画した総所要日数で終了できなくなった。作業を見直したところ、作…
正解:当初計画から1日増加する。
要点:ファストトラッキングは並行化で短縮するが遅れを吸収しきれない場合がある
当初計画のクリティカルパスをたどると総所要日数は33日である。作業Cが2日遅れて12日になり、ファストトラッキングによりGをG1とG2に分割してIをG1の完了後に開始できるようにしても、最終合流点はG2側の経路に規定されて34日となる。結果として当初計画より1日増加する。ファストトラッキングは遅れを完全には吸収できなかったことになる。
出典:令和3年度 秋期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問6(IPA)解説で登場
プロジェクトマネジメントにおけるクラッシングの例として、適切なものはどれか。
正解:クリティカルパス上のアクティビティの開始が遅れたので、ここに人的資源を追加した。
要点:クラッシングは資源追加でクリティカルパスを短縮する
クラッシングは、要員や設備といった資源を追加投入することで作業期間を縮め、スケジュールを短縮する技法である。効果があるのはクリティカルパス上の作業に限られ、コストの増加を伴う。作業を並行実施して短縮するファストトラッキングとは、コスト増かリスク増かという違いで対比して覚える。
出典:令和7年度 秋期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問7(IPA)
図1に示すプロジェクト活動は、作業Cの終了がこの計画から2日遅れたので、このままでは当初に計画した総所要日数で終了できなくなった。作業を見直したところ、作業Iは…
正解:1日増加する
要点:ファストトラッキングでも遅延を全て吸収できるとは限らない
当初計画では、作業Cを通りGとIを経てJへ至る経路が最も長く、全体は33日となる。Cが2日遅れるとこの経路が2日延びて35日になるが、GをG1とG2に分割してIをG1の完了時点から着手できるようにすると、Iの開始が5日早まり、Jの直前の結合点は26日となって全体は34日に収まる。当初の33日と比べると1日の増加にとどまる。
出典・参考
高度試験 午前I(高度午前I 相当)のシラバスの5 プロジェクトマネジメント > 6. プロジェクトの時間 > (3) ツールと技法に掲載されている用語です。
解説は資格暗記が独自に作成しています。過去問の出典は各問題に記載のとおりです。