テストケース(テストデータと予想結果)とは?てすとけーす
テストケースは、入力値・事前条件・実行手順・期待結果(予想結果)を一組にした、再現可能なテストの最小単位である。期待結果は仕様から導出するのが原則で、実装を動かして得た出力を期待結果に採ると、実装のバグごと正解として固定してしまう(テストオラクル問題)。ケースの選び方は同値分割で入力空間を代表値に縮め、境界値分析で各同値クラスの端とその前後を必ず含める——不具合は境界に集中するため、少ない件数で欠陥検出率を上げられる。分岐が絡むときは判定条件網羅(デシジョンテーブル)で条件の組合せ漏れを潰す。ブラックボックステストは仕様からケースを起こし、ホワイトボックステストは命令網羅・分岐網羅といったカバレッジ基準からケースを起こすが、カバレッジ100%は「書いたコードを通した」ことの保証にすぎず、仕様にあるのに実装されていない機能は検出できない。
最終更新:2026-10-06
この語が出る過去問を解く →背景
テストの目的は「動いた」ことの確認ではなく欠陥の検出だが、入力の組合せを全部試すことは現実的に不可能である(全数テストの不能)。そこで限られた工数で検出率を上げるために、入力空間を同値クラスへ縮め、欠陥が集中する境界を狙って代表値を選ぶ、という考え方が生まれた。期待結果を仕様から先に導出するという原則も、実装を基準にすると欠陥ごと正解として固定されるというテストオラクル問題への対処である。応用情報でケース設計技法が問われるのは、工数と検出率のトレードオフをどう設計するかがそのまま品質管理の判断になるためである。
具体例
送料区分の判定を改修したとき、境界値分析で「上限ちょうど」「上限+1」「下限−1」を各区分について起こし、期待結果は料金表マスタから引いて表に落としておく。レビューで「区分2の下限が抜けている」と指摘されたら、それは実装の不備ではなくテスト設計の不備で、追加したケースが通ってしまうなら実装は正しく、落ちるなら不等号が>と>=のどちらかで間違っている——境界のケースを持っているとこの切り分けが即座にできる。
試験での引っ掛け
「網羅率が高い=品質が高い」ではない。分岐網羅を満たしても、複合条件の組合せ(MC/DCで問われる)や、仕様にあって実装されていない機能は落ちる。同値分割と境界値分析の関係も逆にしやすく、同値分割でクラスを切ったうえで、その端を採るのが境界値分析であって、両者は択一ではない。記述式では「なぜその値を選んだか」を、同値クラスの代表であること・境界の直前直後であることのどちらかで30〜50字に言い切る。期待結果の根拠を問われたら「仕様書(料金表)から導出」と書き、実行結果を根拠に挙げない。
関連用語
出た過去問
問題文で直接問われたものと、解説の中で触れられたものが含まれます。
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問59(IPA)解説で登場
販売管理システムにおいて、起票された受注伝票の入力が、漏れなく、かつ、重複することなく実施されていることを確かめる監査手続として、適切なものはどれか。
正解:販売管理システムから出力したプルーフリストと受注伝票との照合が行われているか、プルーフリストと受注伝票上の照合印を確かめる。
要点:入力の網羅性はプルーフリストと伝票の照合で確かめる
入力の網羅性と重複がないことを確かめるには、入力された結果の一覧と入力元の伝票とを突き合わせる統制が機能しているかを確認すればよい。プルーフリストと受注伝票の照合が実施され、照合印が押されていることを確かめる手続がこれに当たる。テストデータ法や並行シミュレーション法はプログラムの処理内容の正確性を検証する手続であり、入力の網羅性そのものは確認できない。
出典:令和7年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問54(IPA)
あるシステム開発プロジェクトのシステムテストにおけるテスト密度及び欠陥密度の値は,図に示した領域①~領域④のうち,領域④の範囲内であった。品質管理基準に照らして…
正解:システムの欠陥を十分に検出できていない懸念があるので,テストの観点に漏れがないかなど,テストケースの妥当性を確認する。
要点:テスト量が十分で欠陥が少なすぎるときは、テスト観点の漏れを疑う
領域④はテスト密度が基準の80%以上を満たす一方、欠陥密度が基準の80%未満に留まっている範囲である。テストは十分な量を実施したのに欠陥がほとんど出ていないことになり、本当に品質が高いのか、テストの観点が偏って欠陥を見つけられていないのかを見極める必要がある。したがってテストケースの内容が妥当かを確認するのが適切である。
出典:令和7年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問59(IPA)解説で登場
システム監査における"監査手続"として,最も適切なものはどれか。
正解:監査項目について,十分かつ適切な証拠を入手するための手続
要点:監査手続は十分かつ適切な監査証拠を入手するための具体的手順
監査手続とは、監査項目について結論を裏付けるだけの十分かつ適切な監査証拠を集めるための、具体的な手順のことである。点検法・質問法・突合法・テストデータ法などを、監査項目に応じて組み合わせて実施する。監査計画の立案や報告書の作成は、監査手続そのものではなく前後の工程にあたる。
出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問50(IPA)
エクストリームプログラミング(XP:eXtreme Programming)における“テスト駆動開発”の説明はどれか。
正解:プログラムを書く前にテストケースを作成すること
要点:テスト駆動開発は実装より先にテストを書く進め方
テスト駆動開発は、実装より先にテストケースを書き、そのテストが通るようにコードを書き進める手法である。仕様をテストの形で先に確定させるため、実装の目的が明確になり、修正時の安全網にもなる。
出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問48(IPA)
流れ図において,分岐網羅を満たし,かつ,条件網羅を満たすテストデータの組みはどれか。
正解:(x=1,y=2) と (x=0,y=1) と (x=0,y=2)
要点:分岐網羅は判定の真偽、条件網羅は各条件の真偽を通すこと
分岐網羅は各判定が真になる場合と偽になる場合を通すこと、条件網羅は判定を構成する個々の条件が真と偽の両方を取ることを求める。三つのデータを使うと、一つ目の判定が真と偽の両方を通り、二つ目の判定も真と偽を通り、さらに三つの条件それぞれが真・偽の両方の値を取る組合せになっている。
出典・参考
公式シラバスの1 基礎理論 > 3. 情報に関する理論 > (9) AI(Artificial Intelligence:人工知能)に関する技術に掲載されている用語です。
解説は資格暗記が独自に作成しています。過去問の出典は各問題に記載のとおりです。