情報システム・モデル取引・契約書とは?じょうほうしすてむもでるとりひきけいやくしょ
情報システム・モデル取引・契約書とは、システム開発の委託について、工程ごとに契約類型を分ける多段階契約を前提に条文と解説をそろえたひな型。経済産業省とIPAが公表しており、企画・要件定義は準委任、外部設計以降は請負という対応づけのほか、ユーザー側の協力義務や変更管理の手続まで明文化している。アジャイル開発向けの版も別に整備されている。
最終更新:2026-10-06
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システム開発では、契約を結ぶ時点で作るものが確定していない。にもかかわらず全工程を一括請負にすると、確定していない範囲まで受託側が完成義務を負い、仕様変更のたびに費用の押し問答になる。責任の所在を、工程ごとの不確実性の差に合わせて配分し直すという考え方を条文へ落としたのがこのひな型である。応用情報では、契約類型の選択理由を説明させる形で問われる。
具体例
仕様が固まらない段階を準委任で結び、確定してから開発工程を請負で結び直せば、見積り精度の低い時点で完成義務を負う構図を避けられる。アジャイル開発向けの版では、成果物の完成ではなく開発チームの稼働期間を対象とする準委任型を採用し、優先順位の入替えを前提とした進め方に契約の形を合わせている。
試験での引っ掛け
法律ではなくガイドラインであり、そのまま使う義務はないうえ、条文は個別の取引に合わせて修正する前提になっている。またベンダーだけに義務を課す文書ではなく、資料提供や意思決定といったユーザー側の協力義務の不履行が、ベンダーの責任を軽減する根拠になり得る点が見落とされやすい。請負と準委任の区別そのものは民法の話である。
関連用語
出た過去問
出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問66(IPA)
"情報システム・モデル取引・契約書"によれば、要件定義工程を実施する際に、ユーザ企業がベンダと締結する契約の形態について適切なものはどれか。
正解:構築するシステムがどのような機能となるか明確になっていないので準委任契約にした。
要点:要件定義は成果物が未確定なので準委任契約が適する
要件定義工程は、これから作るシステムの機能を利用者と共に固めていく段階なので、着手時点では成果物の内容を具体的に確定できません。そのため、仕事の完成ではなく専門的な役務の提供を約束する準委任契約が適するとされています。仕様の決定権はあくまでユーザ側にあり、ステークホルダとの調整もユーザの責任範囲です。
出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問65(IPA)
“情報システム・モデル取引・契約書”によれば、情報システムの開発において、多段階契約の考え方を採用する目的はどれか。ここで、多段階契約とは、工程ごとに個別契約を…
正解:開発段階において、前工程の遂行の結果、後工程の見積前提条件に変更が生じた場合に、各工程の開始のタイミングで、再度見積りを可能とするため
要点:多段階契約は工程ごとの再見積りを可能にするための仕組み
多段階契約は工程ごとに個別契約を結ぶ方式である。開発では前工程の結果が明らかになって初めて後工程の作業量が精度よく見積もれるため、各工程の開始時点で改めて見積りと合意を行えるようにして、見積りの前提が変わったときの不合理を避けることが目的である。
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問66(IPA)
ベンダX社に対して,表に示すように要件定義フェーズから運用テストフェーズまでを委託したい。X社との契約に当たって,“情報システム・モデル取引・契約書<第一版>”…
正解:a, d
要点:ユーザ主体の要件定義と運用テストは準委任型が適切とされる。
モデル取引・契約書では、成果物を完成させる責任が問える工程は請負型、ユーザ側の主体的な関与が不可欠で成果の完成を約束しにくい工程は準委任型とされる。要件定義はユーザが主体となって要求を固める工程、運用テストはユーザが自ら受入れの観点で確認する工程なので、いずれも準委任型が適切とされる。内部設計やシステム結合はベンダが成果物に責任をもつため請負型となる。
出典:令和4年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問66(IPA)
“情報システム・モデル取引・契約書<第二版>”によれば、ウォーターフォールモデルによるシステム開発において、ユーザ(取得者)とベンダ(供給者)間で請負型の契約が…
正解:システム内部設計フェーズからシステム結合フェーズまで
要点:仕様が確定した内部設計〜結合が請負型に適する
モデル取引・契約書では、要件が固まって成果物を明確に定義できる工程は請負型、要件がまだ流動的でユーザ側の関与が不可欠な工程は準委任型が適切とされています。内部設計から結合までは仕様が確定しベンダが成果物の完成に責任を負えるため、請負契約がなじみます。
出典:令和7年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問66(IPA)
ベンダーX社に対して,表に示すように要件定義フェーズから運用テストフェーズまでを委託したい。X社との契約に当たって,"情報システム・モデル取引・契約書<第二版>…
正解:a, d
要点:ユーザー主体の要件定義と運用テストは準委任型が適切
モデル取引・契約書では、成果物の完成に対して責任を負わせにくく、ユーザー側の主体的な関与が不可欠な工程を準委任型としている。要件定義はユーザーが何を作るかを決める工程、運用テストはユーザーが自らの業務で使えるかを確認する工程なので、いずれも準委任型が適切とされる。内部設計からシステム結合までは仕様が固まり成果物を定義できるため請負型が適する。
出典・参考
公式シラバスの7 システム戦略 > 3. 調達計画・実施 > (2) 調達の実施に掲載されている用語です。
解説は資格暗記が独自に作成しています。過去問の出典は各問題に記載のとおりです。