実施権(ライセンス契約)とは?じっしけん
実施権(ライセンス契約)とは、特許権者が特許発明の実施を第三者に許諾する権利で、専用実施権と通常実施権に分かれる。専用実施権は設定範囲において実施を独占させるもので、特許庁への登録が効力発生要件であり、その範囲では特許権者自身も実施できなくなるうえ、差止請求は専用実施権者が行える。通常実施権は債権的な許諾にとどまり、複数者への重複許諾ができる代わりに独占性がない。特許を持つこと自体より、誰にどう実施させるかの設計が事業戦略になる点が出題の軸で、クロスライセンスや標準必須特許のFRAND宣言もこの延長にある。
最終更新:2026-10-06
この語が出る過去問を解く →背景
特許の価値は独占にあるが、独占を貫くほど普及は遅れ、標準を取る競争では不利になる。そこで許諾の強さを段階に分け、独占させる専用実施権と、重複して与えられる通常実施権を用意して、事業戦略に応じて選べるようにしている。専用実施権に登録を効力要件としたのは、誰が独占者かを公示しなければ第三者が安心して取引できないためで、権利関係の対抗の問題に由来する。クロスライセンスや標準必須特許のFRAND宣言も、独占と普及のこの綱引きを調停する道具として同じ延長線上にある。
具体例
トヨタ自動車は燃料電池車に関する特許について、他社が実施できるようにする方針を公表した。技術を囲い込むよりも実施者を増やして市場と供給網を育てるほうが自社の利益になる、という判断で、実施許諾を事業戦略の道具として使った例にあたる。
試験での引っ掛け
登録が効力要件なのは専用実施権であって通常実施権ではない、という点が定番の引っ掛け。また実施権はあくまで許諾であり権利の帰属は移らないので、譲渡(移転)と混同しない。職務発明で会社が得るのは原則として特許を受ける権利の承継または通常実施権であり、専用実施権ではない。記述式では「なぜ専用実施権を選ぶのか」を、独占による事業保護と、自社実施を放棄する代償という両面から短く言えるようにしておく。
関連用語
出た過去問
問題文で直接問われたものと、解説の中で触れられたものが含まれます。
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問78(IPA)解説で登場
クリエイティブコモンズの説明はどれか。
正解:著作物の共有をより円滑に行うために,再利用の許諾条件を著作者があらかじめ明示する枠組みを策定して普及させようとする活動及びその運営主体である団体名
要点:クリエイティブ・コモンズは再利用条件を事前明示する枠組み。
クリエイティブ・コモンズは、著作者が「表示」「非営利」「改変禁止」などの条件をあらかじめ示すことで、許諾を個別に取らなくても再利用できるようにする枠組み(CCライセンス)を策定・普及させている団体およびその活動である。著作権を放棄するのではなく、利用条件を明示して共有を円滑にする点が特徴である。
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問70(IPA)解説で登場
TLO(Technology Licensing Organization)の役割として、適切なものはどれか。
正解:大学の研究成果の特許化及び企業への技術移転の促進
要点:TLOは大学の研究成果を特許化して企業へ技術移転する橋渡し役
TLOは、大学等の研究成果を発掘して特許化し、その特許を企業へライセンスすることで産業界への技術移転を促進する機関です。得られた収益を研究者や大学へ還元し、次の研究へつなげる循環を生み出す役割を担います。
出典:令和2年度 10月試験 応用情報技術者試験 午前 問70(IPA)解説で登場
MPEG-4などに存在するパテントプールの説明として、適切なものはどれか。
正解:複数の企業が自社の特許権をもち寄り、特許権を一括して管理する仕組み
要点:パテントプールは複数企業の特許を集めて一括管理する
パテントプールは、ある規格の実施に必要な特許を複数の企業がもち寄り、一括して管理・ライセンスする仕組みである。利用者は個々の権利者と交渉せずまとめて許諾を受けられるため、MPEG-4のように多数の特許が関わる標準規格の普及を後押しする。
出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問19(IPA)
オープンソースライセンスのGNU GPL(GNU General Public License)の説明のうち,適切なものはどれか。
正解:GPLであるソースコードの派生物のライセンスは,無条件にGPLとなる。
要点:GPLはコピーレフトで派生物にも同じライセンスが及ぶ
GPLはコピーレフトを採用しており、GPLのソースコードを組み込んで作った派生物を配布する場合、その派生物全体にもGPLを適用しなければならない。一部だけを使った場合でも派生物であればGPLが及び、開発者が別のライセンスを選ぶことはできない。
出典・参考
公式シラバスの7 システム戦略 > 3. 調達計画・実施 > (2) 調達の実施に掲載されている用語です。
解説は資格暗記が独自に作成しています。過去問の出典は各問題に記載のとおりです。