保守性とは?ほしゅせい
保守性は、JIS X 25010(製品品質モデル)が定める主特性の1つで、不具合の修正や変更のしやすさを表す。副特性はモジュール性・再利用性・解析性・修正性・試験性の5つ。午前I(令和8年度から科目A-1)では、ある記述や指標が8つの主特性のどれに当たるかを選ばせる形で出るため、隣の特性である使用性・信頼性・効率性・移植性との割り当てまで一組で覚える必要がある。
最終更新:2026-10-07
この語が出る過去問を解く →背景
この科目は30問で全分野を薄く広く出す。保守性は品質特性の設問として繰り返し現れるが、単独で「保守性とは何か」を説明させる出方は少なく、8つの主特性のどれかを当てさせる問題の選択肢の1つとして置かれる。出題の型は3つに絞られている——記述がどの特性に当たるか、指標がどの特性の指標か、そして使用性を問う設問に保守性の指標を紛れ込ませる型。定義を書けることより、対応づけを間違えないことがそのまま得点になる。
具体例
指標の対応表として持っておく。(修正時間の合計)÷(修正件数)=1件あたりの平均修正時間は保守性、(最終成果物に含まれる誤りの件数)÷(成果物の量)=誤り密度は信頼性、(変更が必要となる行数)÷(移植する行数)は移植性、「使用方法を1時間以内に習得できる」は使用性(習得性)、「障害発生から1時間以内に使用できる」は信頼性(回復性)。JIS X 25010はISO/IEC 25010を国内規格化したもので、午前Iの選択肢もこの規格の副特性の言葉づかいをそのまま使う。
試験での引っ掛け
実際に誤答になっているのは特性の割り当てである。「欠陥の診断又は故障原因の追究、及び修正箇所を識別しやすいかどうか」は保守性の副特性である解析性を指すが、同じ設問には「利用者が理解しやすいかどうか」(使用性の理解性)、「潜在する障害の結果として故障が発生しやすいかどうか」(信頼性)、「資源の量と種類を適切に使用するかどうか」(効率性)が並ぶ。逆向きの出題もあり、使用性の指標を選ばせる問題に「改善を1週間以内に完了できる」(=保守性の指標)が紛れ込む。修正や改善に要する時間なら保守性、習得や理解に要する時間なら使用性、復旧に要する時間なら信頼性、と時間の対象で切り分ける。
関連用語
出た過去問
問題文で直接問われたものと、解説の中で触れられたものが含まれます。
出典:平成28年度 春期 高度試験 午前Ⅰ 問16(IPA)
ソフトウェアの品質特性のうちの保守性に影響するものはどれか。
正解:ソフトウェアにある欠陥の診断又は故障原因の追究,及びソフトウェアの修正箇所を識別しやすいかどうか。
要点:保守性の副特性は解析性・変更性・安定性・試験性
保守性は、修正のしやすさに関わる品質特性である。欠陥の診断や故障原因の特定、修正すべき箇所の識別のしやすさは解析性と呼ばれ、保守性の副特性に含まれる。他の選択肢は使用性・信頼性・効率性の説明であり、保守作業のしやすさとは別の観点である。
出典:平成29年度 秋期 高度試験 午前Ⅰ 問19(IPA)
品質の定量的評価の指標のうち、ソフトウェアの保守性の評価指標になるものはどれか。
正解:(修正時間の合計)÷(修正件数)
要点:保守性は平均修正時間、信頼性は誤り密度で測る
保守性は不具合の修正のしやすさを表すので、1件あたりどれだけ早く直せるかが指標になる。修正時間の合計を修正件数で割った平均修正時間が短いほど保守しやすいと評価できる。誤り密度は信頼性、変更行数の比率は移植性、改良要求件数は別の観点の指標である。
出典:令和4年度 春期 高度試験 午前Ⅰ 問17(IPA)解説で登場
問題は発生していないが、プログラムの仕様書と現状のソースコードとの不整合を解消するために、リバースエンジニアリングの手法を使って仕様書を作成し直す。これはソフト…
正解:完全化保守
要点:保守性向上を狙った修正は完全化保守に分類される
JIS X 0161ではソフトウェア保守を、是正・予防・適応・完全化の4つに分類する。完全化保守は、引渡し後のソフトウェアの性能や保守性を改善するために行う修正で、障害の発生とは無関係に実施される。仕様書とコードの食い違いを解消して以後の保守をしやすくする作業は、この完全化保守に当たる。
出典:令和4年度 春期 高度試験 午前Ⅰ 問20(IPA)
ITIL 2011 editionでは、可用性管理における重要業績評価指標(KPI)の例として、“保守性を表す指標値”の短縮を挙げている。保守性を表す指標に該当…
正解:平均サービス回復時間
要点:保守性は復旧時間で測り、信頼性は故障間隔で測る
保守性は、障害が起きたサービスをどれだけ速やかに復旧できるかを示す性質であり、平均サービス回復時間(MTRS)のような復旧に要する時間で測る。これを短縮すれば停止時間が減り可用性が高まる。一方、平均故障間隔や平均サービス・インシデント間隔は、故障の起きにくさすなわち信頼性を表す指標である。
出典・参考
公式シラバスの4 開発技術 > 2. 設計 > (8) ソフトウェア品質に掲載されている用語です。
解説は資格暗記が独自に作成しています。過去問の出典は各問題に記載のとおりです。